この秋は自民党総裁選挙、衆議院総選挙など、重要な選挙が予定されています。菅政権発足から一年弱ともなり、昨年の総裁選での公約なども含め、多くの政策が動いています。これらの実績も当然上記の選挙の折には重要な論点となってくるものと思います。今回はそれらのうちのいくつかをご紹介します。
■ 不妊治療の保険適用
これについては、私も地元の何組ものご夫婦からご要望をいただいていました。治療と疾病の関係が明らかで、治療の有効性や安全性が確立しているものには既に保険が適用されておりますが、一方で原因不明な不妊症に対して行われる体外受精や顕微授精などについては、高額であるにもかかわらず、保険適用外でした。
多くの不妊に悩む方にとって、保険適用は強いご要望でした。しかし今までは、「健康保険法における位置づけが難しい」「どの治療を適用化するか」「治療法が日進月歩で進んでいくため基準作りが難しい」などの議論で実現できない課題でした。
しかし菅総理となって、少子化対策に資することなら何でもやるという強い意志と、それに基づく指示で、保険適用が実現することになりました。
令和4年度(2022年度)当初から保険適用します(保険のシステムを変えるための時間を要することをご理解いただきたいと思います)。このため令和3年度は保険適用が間に合いませんが、自己負担が保険適用後と同等のレベルになるように助成金を拡充しています。
また、所得制限をなくし、1回あたりの助成額を倍にし、助成回数についても「生涯6回」となっていたものを「子ども一人あたり6回」とします。その他、生まれてくる子の福祉に配慮しながら、法律婚だけでなく事実婚関係にある方も対象としています。これらの変更で、より多くの不妊で悩む方々が不妊治療に全力で向き合えると思います。
一方、不育症に悩む方々からも高額な治療費をなんとかして欲しいという声をいただいていました。不育症とは、妊娠はするものの、様々な理由から子宮内で発育しきれずに流産してしまう症状です。一度は妊娠をし、自分の胎内に生命の存在を感じる分、女性の精神的ショックは大変大きいものになります。
不育症は、不妊症で悩む人に比べて人数的にも少なく、今まで十分な議論もなされてこなかったのですが、今回の不妊症に対する保険適用の動きに合わせて、内閣官房内に私が座長となり、不育症のプロジェクトチームを発足し、検討を進めました。不育症対策ではかなり保険適用が進んでいる一方で、混合診療との兼ね合いなどで保険適用をクリニック側が避けていたり、心のケアに関して人材を含めて拡充が必要なこともわかり、これらを包含する形で新たに国による助成金を創設させていただきました。
同時に、不育症の当事者に情報が届いていない現状を改善すべく、関係各所への協力を依頼しています。今回のプロジェクトの中にも不育症クリニックに通っていたというメンバーがいて、実はかなり身近な課題であったことも改めて実感しました。
■ デジタル庁
9月1日からデジタル庁がスタートします。菅政権が発足してから一年経たないなかでの発足は、中央官庁では最速です。まさしく菅総理のリーダーシップがなければ考えられない早さです。
デジタル庁はデジタル社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進する新たな司令塔となっていきます。そしてその目指す新しい社会とは、「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができる多様な幸せが実現できる社会」であり、そこでは誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化が展開されます。
今まで日本もデジタル化の名の下に、コンピュータシステムを導入してきました。しかし、それは地方分権の言葉が顕著に表すように、地方自治体がそれぞれ自分たちのコンピュータ化を進めるものでした。
各市町村はその市町村内でしか使えないシステムをそれぞれの市町村が発注して作っているので、国や県のデータを活用することができません。国では国の省庁ごとに、それぞれ違うシステムなので、デジタル化の意味はなくなってしまいます。
ある税務関係資料作成のとき、国で入力したデータを紙で取り出し、市町村で再度入力し直すという、大変非効率なことが行われているのを目の当たりにしました。やっとこの段階になり、国も県も市町村も使えるプラットフォームの上にシステムを展開することを目指すことになります。
デジタル庁ができて、対外競争力が上がり、生産効率がよくなるなどの点が指摘されています。狙い通りに機能すれば、私たち国民にとって、様々な手続きが役所に行かずにオンラインで済ませることができるようになります。利用者にとって最もわかりやすいメリットです。
また、診療や教育をはじめとした行政サービスも今よりスピードアップされるものが増えます。加えて、いくつもの窓口にまたがるような手続きも、1カ所で変更するだけで自動的に必要な箇所で更新されるとなれば、煩わしさがなくなります。
世界のデジタル化の流れに追いつき、追い越して行くためにも、ここで大きく加速することが必要であり、デジタル庁はその流れを力強く推進するための司令塔となっていくわけです。
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