衆議院議員(5期) 神奈川第5区(横浜市戸塚区・泉区・瀬谷区)

国産半導体と人材育成 ~ 菅政権の決断と半導体産業のこれから ~

先日の統一地方選終了後、菅義偉前総理らと熊本県に行きました。菅前総理の実現したことを確認・検証する視察でした。

■ 日本の半導体の現状
菊陽町に建設中のJASMという半導体工場に行き現状の話を聞き、次にその隣地にあるSONYの半導体関連の工場とクリーンルーム内を視察してきました。
日本の半導体産業の凋落は激しく、1988年日本のシェアは50.3% 2019年は10.0% 1992年の売上ランキングには、2位、3位、5位、7位、8位、10位に、日本の会社が入っていました。しかし、2019年には9位に1社のみ。将来的には日本のシェアは0%に近くなるのでは?と危惧されています。
一方で半導体への需要は高まるばかりで、半導体不足により、新車の納期が遅くなったり、設備機器が手に入らず建築工期が延びたりと、日本の経済にも大きな影響を及ぼし、経済安全保障の面からも課題だと指摘されました。
そうした状況のなかで、TSMCという世界で最も大きな台湾の半導体の会社とSONY、DENSOがJASMという会社を立ち上げ、日本国内で半導体を製造していくことになりました。
この背景には、今回TSMCが日本に投資をして工場を作ると決めた理由の一つに、日本政府が大規模な補助(4760億円)を行うという決定がありました。

建設中の半導体工場についてヒアリング

■ 「半導体復活」への菅政権の決断
前述したように、日本国内には何社も半導体メーカーがありました。民間のメーカーが、それぞれ研究開発し、しのぎを削る状況にある中で国内には民間の企業活動に国の予算、つまり公金を入れて支援するのをはばかる風潮がありました。
しかし、韓国、台湾、中国をはじめ世界各国では研究開発のみならず、大規模な補助金、減税等で長期に亘って国内企業の設備を投資、支援して育成してきました。今回のJASMの工場建設にも1兆円近くかかると言われており、このように半導体への投資は巨額になります。日本ではその投資のリスクをそれぞれの民間の企業が単独で負っていく構造になっていましたが、そのリスクが高すぎて、必要な、そして思い切った投資を継続できず、それが凋落の主要因の一つだとも言われてきました。
実は国が前面に立って半導体産業を後押しし、そのために国の予算をも投入するという大きな政策変更を閣議決定したのが菅内閣でした。
その決定方針に基づき、5G推進法とNEDO法を岸田内閣で改正し、その法に定められた支援の枠組みで令和3年度補正予案で6170億円を計上、令和4年度補正予算では4500億円の追加を実施、昨年9月までに3件を認定していますが、この熊本のJASMはその中でも最も規模の大きなプロジェクトとなっています。
それだけの大きな政策変更だっただけに、その後の状況をしっかりと確認するのは意味のある視察でした。
菅前総理は現在もラピダスの小池社長と会って情報共有するなど、半導体産業を応援しています。今回の視察でもJASMの社長から「政府の政策変更後とてもスピーディーに話が進んで、アメリカからも同じ時期に話がありましたが、それと比較しても大いに早く動きましたので、大変感謝しています」とご説明いただきました。
民間の調査会社によると、10年間に4兆2900億円の経済効果に7500人の雇用創出効果があると試算されています。まずは1棟目の工場建設ですが、2棟目、3棟目などと展開されれば、と私も期待をもって視察させていただきました。

■ 世界シェア48.2%の「電子の目」
次に訪問したSONYセミコンダクタマニュファクチュアリング株式会社はすでに稼働しているので、具体的な生産についてのヒアリングと視察が出来ました。ここでは、イメージセンサーという「電子の目」を生産しており、この分野においては世界シェアの48.2%を占めている会社で、その技術は世界最先端とのこと。それでも「時間にすれば3年ほど進んでいるという感じでしょうか」ということで、常に前進を求められる技術開発の緊迫感が伝わってきました。

■ 熊本発の人材育成の潮流
それと同時に半導体人材育成においても大きな前進があります。これらJASM、SONYなどの工場群の存在により全国に先駆けて、九州にJASM・九州大学・熊本高専など45機関が参加する産学官連携の半導体人材コンソーシアムが結成されました。
地元高専において半導体に関するカリキュラムを作成した上で、参画企業・機関による「出前授業」や工場見学等を実施しています。なにより、これが九州にとどまらず、東北ではキオクシア岩手、東北大学・一関高専など67機関で、中国地方ではマイクロン・広島大学・呉高専など90機関が参加して、同様のコンソーシアムが組成され、その動きは全国に広がりつつあります。
また熊本大学に半導体研究教育センターが立ち上がるなど、半導体人材育成に拍車がかかっています。しかも、今回、JASMでは社長が高専卒ということもあり、高専卒業生がしっかり評価されたということや、世界最先端の技術を持つ会社が来るということで、東大の電気電子学科の学生がGAFAではなくJASMに何人も就職してきたということなど、人材の待遇にも大きな変化が出始めています。
また、JASMには1700人もの技術者が必要であり、日本国内だけでは足りず世界中から集めていくのですが、その地域においては人口増加、消費の拡大、ビジネス商圏の誕生と、地方創生に直結するわけです。
一つの政治的決断がこのように地方経済や人材育成に影響を与え、日本経済全体にまで波及していくであろう状況を目の当たりにすると、政治の影響力と責任というものを強く感じます。
と同時に、改めてこういう仕事をした内閣で内閣官房副長官を務められたことに誇りを感じました。

工場のクリーンルームに入るため、専用の作業服を着用

駅でお配りしている『 時報紙5月号 NO238-1』はこちらから。

あなたのご意見をお聞かせください→info@sakaimanabu.com
(全角文字で表記されていますので、半角に直してアドレス入力をお願いします)

あなたの声が政治を変える。
意見集約型政治を目指します。

新着記事

記事カテゴリー

さかい学プロフィール

坂井 学(さかい まなぶ)

衆議院議員(5期) 神奈川第5区
(横浜市戸塚区・泉区・瀬谷区)
前内閣官房副長官
自民党横浜市支部連合会会長

言いだしっぺです

こんにちは。「言いだしっぺ」のさかい学です。 初めて選挙に挑戦して以来、ずっと続けているのが朝の駅頭活動です。 ここで私は日々の政治課題に対する私の考え、思いをお伝えしています。と同時に、皆さんからのお話をうかがう場でもあります。意見集約型の政治を目指す私の、大切なフィールドです。

SNS

よく見られている記事