衆議院議員(5期) 神奈川第5区(横浜市戸塚区・泉区・瀬谷区)

沖縄県視察レポート ~ 国境離島に課せられた役割 ~

7月に参院選があったこともあり、今年の通常国会は会期通りに閉会し、今月前半に参議院の役員(議長、副議長など)を決める国会が開かれますが、基本的にこの時期は国会が閉会されています。
そして私たち国会議員にとって、この時期は一年を通して、唯一「まとまった閉会のタイミング」で、他の時期にはできない知見・知識をインプットしたり経験したりする大変重要な期間になります。
コロナの状態を見ながらではありますが、私もこの時期にいくつか計画しているものがあります。
先月は定置網漁の船に乗せてもらい、漁の現場に立ち合うという貴重な経験もさせていただきました。
また与那国島をはじめ、沖縄における国防関連の視察も行ってきました。今月の小紙では、沖縄の視察についてご報告をします。

■ 陸上自衛隊の与那国駐屯地

ここには陸上自衛隊の沿岸監視隊等が駐屯しています。最近は航空自衛隊から分遣隊も配備されました。
与那国島は日本の最西端に位置する島で、石垣島よりも台湾の方が近いという土地です。海の向こうに台湾の島影がそびえ立つ壁のように見えていました。
そして先日も、台湾軍と想定される訓練の音が頻繁に聞こえていたそうです。まさに、国境の有人離島の典型であり、不安を感じざるを得ない状況です。
自衛隊がこの最西端の島に沿岸監視隊を置き、情報収集と分析を行うことは理にかなっています。しかし、この駐屯地は島内の反対などもあり、実際に開所したのは平成28年と、かなり最近です。
約160名の自衛隊員が駐屯するようになってからは、その家族も含めて300人ほどが生活するようになり、子どもも含めて若い世代が増えたため、島内のそれぞれの集落が活気づいているようです。
また、地域の運動会などの際には基地の運動施設を開放し、災害時には隊員たちが地域住民として救助活動などをしており、地域に溶け込み、地域貢献をしていることもあり、大変評判がいいとのこと。
一方、移住してきた隊員の家族も、子育て環境を気に入っているということで、防衛施設建設の際の反対運動ばかりが報道されますが、実際にこうしたいい関係ができていることも多くの国民に知っていただきたいと思います。

与那国駐屯地の隊員から現地の説明を伺いました。このほか様々な施設を見せていただきました

■ 与那国町長との意見交換

「町民の安全」について、国からの支援のお願いを強くされました。
島が一つの町で構成されていることもあってか、警察官は二人しかいません。消防署員はゼロ。「拳銃2丁で、侵入者から島が守れるか」と町長は危機感を強く持っておられました。
また、「陸自の駐屯地はあるが任務が情報関係であり、実行部隊ではないので心配。海上保安庁にも基地をつくってほしいと要請を続けている」とのこと。
そして何より、有事、特に台湾有事が起きた時、現在では町民を安全に島から脱出させる方法や支援物資を大量に輸送することができないそうです。というのも、島には岸壁も水深5.5mまでのものしかなく、多くの人や物を輸送できる船は着岸できません。
「国民保護の観点からも沖縄県に協力してほしいが、離島に対しての関心が薄く、後回しにされている感があり、人口1600人程度の小さな島が単独でこれらを整えることは不可能」「国境離島という、日本のために大きな役割を果たしているのだから、町民の安全確保のために特別な計らいをお願いしたい」と、何度も繰り返されていました。
自衛隊も海上保安庁も、今の体制で十分外敵には対処できると判断しています。その結果、与那国島にこれ以上の投資をする(例えば、基地建設など)のは効果的ではないという立場ですが、与那国町長の不安や心配は、当事者であればもっともなことだと思いました。
台湾に極めて近く、中国の脅威を感じる最前線であるという与那国島特有の事情と全国各所にある国境有人離島全般に関わる課題とが併存しているわけです。

与那国町長から町内の現状、課題などを伺いました

■ 石垣島・沖縄本島

石垣島の海上保安庁の基地と那覇の航空自衛隊の基地、宜野湾市を訪問し、お話を伺いました。
年間600回を超えるスクランブルがあり、私の視察中にもF15が2回もスクランブル発進をするなど、緊張感のある状況が続いているのを、身をもって感じました。
先の参院選で、「自衛隊があるから他国が過敏に反応する。自衛隊がなければ日本は平和で安心」という方々が何人もおられましたが、フィリピンやウクライナの現状を見ても、「日本がF15を持たなければ、中国が領空侵犯をしてこない」「海上保安庁がいなければ、中国の海警の船も出てこない」とは到底考えられません。
現実に即した上で、改めて見直しを求められている、そして決して忘れてはならない日本の安全の課題です。
今年の大きなテーマの一つである防衛費の議論とも直結する話であり、この課題も逃げることなく取り組み、提案していきたいと思います。

座学で全体概要を伺ったのち、現場を見せていただきました

座学の後、現場を見せていただきました
F15戦闘機
宜野湾市長から普天間飛行場跡地の建設状況についてご説明いただきました
石垣天文台では、その特長、研究テーマの最前線等について伺いました
天文台の望遠鏡で実際に見せていただきました
建設中の施設の現場を見せていただきました
道路の建設工事の状況を伺いました

このほか、さまざまな機関でお話を伺い、現場を見せていただくことができました。ご対応いただいたみなさまに心より感謝申し上げます。

駅頭でお配りしている『時報紙 令和4年 8月号』はこちらから。

あなたのご意見をお聞かせください→info@sakaimanabu.com
(全角文字で表記されていますので、半角に直してアドレス入力をお願いします)

あなたの声が政治を変える。
意見集約型政治を目指します。

新着記事

記事カテゴリー

さかい学プロフィール

坂井 学(さかい まなぶ)

衆議院議員(5期) 神奈川第5区
(横浜市戸塚区・泉区・瀬谷区)
前内閣官房副長官
自民党横浜市支部連合会会長

言いだしっぺです

こんにちは。「言いだしっぺ」のさかい学です。 初めて選挙に挑戦して以来、ずっと続けているのが朝の駅頭活動です。 ここで私は日々の政治課題に対する私の考え、思いをお伝えしています。と同時に、皆さんからのお話をうかがう場でもあります。意見集約型の政治を目指す私の、大切なフィールドです。

SNS

よく見られている記事