「2050カーボンニュートラル」の意味 ~ 加速する社会理念の変化 ~

新しい年になりました。昨年、世界全体が翻弄された新型コロナウイルスに関しては、今年は何とか抑え、先の道筋が見えるようにしたいと、国の総力を一層挙げていく所存です。
同時に、経済を回すことをはじめ、ほかにもたゆまず進めていかねばならない政策があります。その一つが、総理が昨年の所信表明で示した「2050カーボンニュートラル」です。

■ 世界で注目されたメッセージ
表明した翌日に、国連のグテーレス事務総長から総理に電話があり、賛同・感謝し、協力を表明したことが象徴するように、日本のメディアの論調とは違い、世界ではかなり注目されました。
この報道内容の差を見て、日本でこの目標を達成することの大変さを改めて実感しました。そのため、環境省の幹部にも「小泉大臣の影響力は強いものがあるが、役所としても情報発信や啓蒙活動、メッセージの発出を組織的に取り組んでもらいたい」とお願いしました。
私も懸命に勉強して、この社会の変化についていかねばなりませんが、このカーボンニュートラルを実現していく過程で、私たちの社会が理念から大きく変わっていくことになると思っています。資本主義経済の中に、環境面からの尺度が入ってくるということです。

■ 大量生産・大量消費との決別
私は松下政経塾生のとき、靴の製造工場で研修をしたことがあります。そこでは朝から晩まで縫製などに不備のある靴をカッターナイフで切るという仕事をしました。わずかな不備で、十分に使える製品だったのでもったいないなと思っていましたが、完成品としてはクレームが来るかもしれないし、B級品として安価に市場に出回ると完成品の売れ行きを阻害し、会社の利益が減るという事情がありました。
しかし、そのB級品でさえも炭素を出していると考えれば、今後はそのままゴミにして捨てるという選択肢はなくなっていくはずです。これを突き詰めれば、大量生産、大量消費というあり方が変わっていかざるを得なくなります。

■ 「サーキュラーエコノミー」の加速
ほかにも、「所有」という考え方が変化せざるを得ないのではないかと思います。「サーキュラーエコノミー」としてすでに注目されているものがその一つです。
今は専有して使用するためには購入して所有するというのが普通ですが、借りて使い、その使った分だけを使用料として支払うという形が、今以上にあらゆる分野に拡がることが想定されています。
例えばタイヤメーカーのミシュランが1マイル走行分の単価を決め、走った分だけ課金するというシステムを、電気機器メーカーのフィリップスでは電球がどの明るさをどれだけの時間提供したかを基準に課金するシステムをスタートしました。
すでに、カーシェアリングや服のリサイクルなどの形態が存在しますが、その分野が一気に拡がり、自分が所有しておく必要がなくなるものが増えると考えられます。社会が変われば、そこで新たにビジネスが生まれ、同時に求められなくなる分野が浮き彫りになります。
国際社会でこれらカーボンニュートラルの変化に日本が対応していかねばならないということなのです。望むと望まざるとにかかわらず、来ている流れです。

■ 次世代エネルギーでリーダーになること
今は様々な基準やルールも作成の途上です。「2050カーボンニュートラル」を菅総理が宣言したことにより、日本もこのルールづくりに絡むこともできるようにもなります。次の時代、日本が引き続き国際社会で影響力を持つ立場を保たなければなりません。
現在、化石燃料を燃焼させることにより出てくるCO2をはじめとする温暖化効果ガスの排出が問題視されています。そして代替エネルギー源として注目されているのが水素です。
日本のエネルギー政策の基本理念は安全性を大前提とし、自給、経済効率性、環境適合を兼ね備えることです。現在、水素はこの中で自給と環境面で可能性があるため、日本での有力な代替エネルギーと目されています。また、当然、日本のみならず世界でも求められるエネルギーなので、その技術は重要な競争力のカギにもなります。

■ 安定供給がカギ
まず必要なのは、水素の必要量を安定的に供給できる体制づくりです。一つは水素を海外から輸入するという方法がありますが、国内で製造する能力を持つことは一層大事です。コストやエネルギーをかけずに水素が製造できる技術開発は、それだけで競争力を持つことになります。
同時に必要なのが、それを国内全体に供給する体制です。必要なところに常に供給できるようでなければ代替エネルギーにはなりません。このサプライチェーンの構築も大きなミッションの一つです。
次は水素を利用する側の体制づくりです。幅広い分野で活用できるよう新しい技術開発と商品開発が求められています。火力発電に化石燃料が使われていますが、それと同じように水素で大量の発電をし、多くの世帯に供給することができるかが重要です。当然コスト面も含めて議論が期待されますし、大型の発電所用だけではなく、私たち個人が利用するような発電機も考えられます。また運輸分野では乗用車のみならず、トラックや貨物船など大型の、しかも輸送用の車・船などへの適用も重要な課題です。

■ 「環境問題」はビジネスチャンス
また製鉄プロセスにおける水素利用など様々な産業プロセスの中でも利用する技術が求められています。こういう中でイノベーションが起こり、新たなビジネスが展開を始め、ダイナミズムを与えていくので、「2050カーボンニュートラル」の取り組みは単なる負担だけではなく、ビジネスチャンスであり、経済成長にもつながっていくと政府では主張しています。
一方、この変化の中で需要が大きく減ることが予想される業界もあり、今後の存続を危惧されていると思います。必要とされる業態へと変革していこうというところは、技術開発をはじめ支援していきます。

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さかい学プロフィール

坂井 学(さかい まなぶ)

衆議院議員(5期) 神奈川第5区
(横浜市戸塚区・泉区・瀬谷区)
前内閣官房副長官
自民党横浜市支部連合会会長

言いだしっぺです

こんにちは。「言いだしっぺ」のさかい学です。 初めて選挙に挑戦して以来、ずっと続けているのが朝の駅頭活動です。 ここで私は日々の政治課題に対する私の考え、思いをお伝えしています。と同時に、皆さんからのお話をうかがう場でもあります。意見集約型の政治を目指す私の、大切なフィールドです。

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