この一年間さまざまな政策の“実現”に内閣官房副長官として携わって来ることができました。
実現した政策をご紹介し、これからやるべき政策についての更なるご意見をいただくための連載5回目です。
■「2050年カーボンニュートラル」表明と予算化
菅総理は「2050年カーボンニュートラル」を就任直後の国会で表明しました。
地球温暖化を促進する温室効果ガス、代表的なものがCO2ですが、それを増やさないというのがカーボンニュートラルです。
CO2を全く排出しない生活というのは無理ですが、生産等による排出量と植物の光合成などによる吸収量、これらのプラスマイナスをゼロにしようという考え方です。
ご存じの通り、日本は中国、アメリカ、インド、ロシアに次ぐ、世界5番目のCO2排出大国でもあるのです。
世界ではすでに120以上の国が2050年カーボンニュートラルを目指す宣言をし、動き出しています。
イギリスをはじめとしたいくつかの国では、2035年にガソリンエンジン搭載車が走れなくなるなど、カーボンニュートラルに資する製品しか売ることができなくなってくるのです。
そのなかにあって、日本は経済を支えてきている自動車産業などに厳しい変化が求められるため、なかなか合意できずにいました。
しかし日本の将来のために菅総理の政治決断で、日本もカーボンニュートラルを目指す国として名乗りを上げることになりました。
菅総理は、この変化を新たなビジネスチャンスととらえ、官民挙げてこの変化に取り組み、開拓していくべきだとして、「カーボンニュートラル基金」2兆円も創設しました。
10年間研究開発・実証から社会実装までを継続して支援していきます。
また参加国は、約10年後の2030年にどれだけ炭素の排出量を減らすかという国の目標を求められています(これはNDCと表記されています)。
日本は今年、2013年度の排出量比で2030年に46%を削減していくと国際的に約束しました(できる限り50%の高みを目指していきます)。
私が菅総理に同行して訪米した際も、その直後の日程で米国主催の気候変動サミットが開かれています。
この秋にはCOP26という気候変動の国際会議もあります。
このカーボンニュートラルは既に国際的な大きな潮流となっており、国際政治の重要なポジション争いの場になっています。昨年、日本がカーボンニュートラルを宣言したタイミングというのは、まさにルールメイキングができる、つまりお互いの国が守る約束をつくっていく側に入れる最後のタイミングでもありました。
日本の産業にも大きな影響を与えていく分野で、日本は何とかそのチームの主要な一員となることができたわけです。
ここで日本の経済成長を引っ張っていく会社・技術が出てくるよう、できるだけの支援をしていきたいと思います。
※気候変動対策は経済界の同意を得ることが簡単ではないですが、未来を生きる私たちの子や孫にとって非常に重要な政策です。
将来世代への責任を果たす姿勢を新政権にも期待します。
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