衆議院議員(5期) 神奈川第5区(横浜市戸塚区・泉区・瀬谷区)

「政府外交」と「議員外交」~ 日本の存在感をどのようにアピールするか  ~

7月前半、菅義偉日印協会会長を団長とするインド訪問団と自民党萩生田政調会長のベトナム、ラオス、タイ訪問団に同行してきました。政府として外交をしてきたことが多かった私にとって、議員としての外交にどれくらいの効果があるのか実感がほとんどありませんでした。しかし今回、総理経験者と現職の与党政調会長の影響力の大きさを、身をもって感じることができました。これはとても貴重な経験となりました。

■ 私の政府外交経験
国土交通大臣政務官、財務副大臣、総務副大臣、内閣官房副長官という政府の代表としての立場で行きました。また、変わった形では、安倍首相の代理の「特使」ということでガーナの大統領就任式に参列したことがあります。
政務(大臣、副大臣、政務官)の立場で海外に行って何をするか。私の経験からと言うと、いくつかパターンがありました。

①仲介役
相手国の大臣級の要人と会談をして日本の立場を伝えると共に、先方から支援の依頼を受けるというパターンです。
例えば、貨物鉄道のプロジェクトを進めていたインドでは、入札方法で折り合いが付かなくなっていたため、日本の立場を説明し、理解を求めに行きました。事務方、もしくは民間では、インドの鉄道大臣に直接会って話すことができません。日本から大臣級(政務)が来るということになれば、先方も大臣が出てくるわけです。
また、総務副大臣の立場で行ったミャンマーでは、国営テレビ会社の映像処理や番組制作の技術を教えて欲しいという要請を正式に受けました。

②トップセールス
日本の技術や製品の売り込みをします。わかりやすい形ですと、日本の企業が集まり、相手国で展示会付きセミナーを開き、その開会セレモニーで挨拶をしたり、先方の要人に直接お願いするということです。
インドネシアのガルーダインドネシア航空の会長に、三菱のMRJという飛行機の購入を依頼しに行ったことがあります。国営のガルーダインドネシア航空の会長がインドネシアの交通副大臣ということで、先方との立場のバランスを考えてということでした。
また、日本の郵便番号制度を導入したベトナムへ、その制度導入の効果をより高めるために、郵便番号を識別し仕分けをする機械も日本のものを導入して欲しいとの念押しをしに行ったこともありました。制度を日本から入れても、機械はよりやすいところから購入するという意識は、海外では当たり前で、「知恵は日本から、実利は他国へ」ということが往々にしてあります。
その他、「ただ会うことが大事」という面会もありました。前述のように、激しい競争のなか、日本の大臣級の人間が会いに行き、「どれほど貴国を大事にしているか」を見せることは非常に大切です。

③国際会議への出席
G20情報通信大臣会合に、大臣の代理として出席をしたり、アメリカ開発銀行の総会や、OECDの都市関係の会議では、次の年に日本が議長国になるということで、副議長の役割を担わせてもらいました。大臣会議では、政務が出席しないと発言できない場合もあり、国益に影響することになります。
あるとき、会議本番でアメリカともう一つの国とが結託して発言し、会議の事務方が想定していた決着と違う形になったことがありました。「国益が絡むと何でもアリ」というのを目の前で見せられました。日本がそうした仕掛けの蚊帳の外でいい場合もありますが、仕掛けに全く気づかなかったことは問題だと、担当した官僚と反省しました。

■ 私の議員外交経験
前述のような国を代表しての立場でない場合の外交が議員外交ということになり、私の場合、衆議院から正式に派遣されたことが2回あります。一回は財務金融委員会として政府や金融関係の企業・団体と面会し、もう一回は、ガーナ議連としてガーナ国に派遣され、議員同士の外交を展開しました。
また、私が議員浪人中には菅義偉議員に同行し、馬英九総統(当時)、李登輝元総統をはじめとする台湾の要人に面会する機会をいただきました。

■ インド訪問
今回、菅前総理とモディ首相とは4回目のバイ会談(1対1の会談)でした。4度目ともなると、信頼関係もできてきて、「やはり、回数を重ねると違う」と手応えを感じたそうでした。特に今回のインドは日本の経済界から100人ほどが同行しましたが、それほどにインドへの期待を感じました。
インドでは先方の経団連にあたる組織とのセミナー、ビジネスミーティング、トップ同士の交流・懇談ができ、とても有益でした。

インドのモディ首相と (©PMO India)

■ ベトナム、ラオス、タイ訪問
一方、萩生田政調会長は日本アセアン交流50周年ということで、徹底してアセアンにこだわって取り組んでおり、今年に入って3回目の訪問になります。やはり「実現する」ためには、全精力を注ぎ込まなくてはなりません。
今回訪問したベトナム、ラオスは政党の方が政府の上位にあるので、政党交流とは言え、実質は政府の大臣などよりも序列が上の方々とお会いできました。日本側としても、大臣のように職務が限定されていると所管の政策・事項が会談の対象になりますが、与党の政調会長というのはすべての政策に絡んだ責任者ですから、話題はDX、GXから観光、教育まで幅広く、お互いの関心事項を何でも話題にできたと思います。
またタイでは、文科大臣経験者でもある萩生田政調会長が、以前取り組んだ施策の確認に行きました。日本の高等専門学校の制度をタイへ輸出したのですが、極めて有効に機能しており、現在はこの高専への希望者が殺到しているそうです。中学校卒業時に経済的な事情で学業を続けることのできない優秀な子どもたちが無償で学べる環境で、実際にお話しもさせてもらいましたが、将来が楽しみです。この政策については別の機会にお伝えします。

ベトナムのファム・ミン・チン 首相と

今回の経験を通じて、議員外交の意義、国会議員として対峙する外交・安全保障の必要性を痛感し、そのために議員外交が重要であることを認識させられました 。

インドでの主な活動

インドのモディ首相と (©PMO India)
インドのモディ首相と (©PMO India)
インド・日本ビジネスフォーラム
FICCI議連との意見交換会
FICCI議連との意見交換会
FICCI議連の会長に日本のソロバンを差し上げました
アーメダバードの新幹線の工事現場視察
新幹線終着駅の完成模型による説明
新幹線の終着駅にて
新幹線の終着駅
アーメダバードでの視察と意見交換会後、報道関係者への説明

ベトナム、ラオス、タイでの活動

ジエン商工大臣(ベトナム)
マイ越日議連会長(ベトナム)
ファム・ミン・チン首相会談(ベトナム)
チュン党中央対外委員長(ベトナム)
ソーンサイ首相(ラオス)
ブントーン・チットマニー国家副主席(ラオス)
トゥンマリーラオス日本友好議連会長(ラオス)
高等専門学校視察(タイ)
マライトーン商工大臣

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さかい学プロフィール

坂井 学(さかい まなぶ)

衆議院議員(5期) 神奈川第5区
(横浜市戸塚区・泉区・瀬谷区)
前内閣官房副長官
自民党横浜市支部連合会会長

言いだしっぺです

こんにちは。「言いだしっぺ」のさかい学です。 初めて選挙に挑戦して以来、ずっと続けているのが朝の駅頭活動です。 ここで私は日々の政治課題に対する私の考え、思いをお伝えしています。と同時に、皆さんからのお話をうかがう場でもあります。意見集約型の政治を目指す私の、大切なフィールドです。

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