■ 全国組織の設立
先月26日に、高齢者等終身サポート事業者の全国団体である「全国高齢者等終身サポート事業者協会」(以下「全終協」)の設立記念フォーラムが開催され、全終協が立ち上がりました。
この高齢者等終身サポート事業とは、高齢者等、特に、いざという時に頼れる人が近くにいない方(俗におひとりさまと言われている方)に対して、身元保証や死後事務、日常生活支援等のサービスを行う事業です。
通常であれば自分の意思で行動をし、日々の生活を営んでいますが、本人が亡くなったり、病気で倒れたりなどで自身で処理できない状況に陥ると、本人の代わりに処理できる者がいなくなり、たまたま近くにいて関わった人が大変な思いをすることがあります。
例えば、本人が亡くなってしまったら誰が葬儀を営み、居住していた家や部屋の整理をするのか。家族・親戚探しは誰が、遺産がないときはそれらの費用を誰が負担するのか。
また本人の意識がなく病院にかつぎ込まれたときなども、誰が入院手続きをし治療方針を決定するのか。入院生活用品のレンタルなどの契約やそれらの支払いは誰がするのか、などです。
こうした場合の支援サービスを提供し、その報酬を受け取っているのがこの高齢者等終身サポート事業者です。
■ 高齢者等終身サポートの課題
これらのサービス等の中身は身元保証等サービスであることや死後事務サービスを含むため、以下の課題点が挙げられています。
(1)契約が長期にわたる
(2)費用が前払いされることも多いため、契約内容の適正な履行を確認しにくい
(3)判断能力の低下が懸念される高齢者を主な対象としているため、契約者の意思能力の有無等をめぐって事後的に争いが生じる可能性がある
従って、一般的な高齢者サービスの契約と比べても、利用者保護の必要性が高いと指摘されています。こうした背景から、内閣官房が関係する役所を束ね、議論を重ねて業界のガイドラインを作りました(令和6年6月発出)。
これにより、ガイドラインに沿って事業を行っている事業者のサービスは基本的に安心だと考えることができ、自治体や福祉関係者もそういう団体であれば、サービスを必要とする人に紹介することができます。
■ 安心して相談できる窓口
しかし、私たち素人では、どの事業者が適切に業を担っているか判断するのが困難です。そこで、利用者の不安に寄り添う事業者が今回の全終協を立ち上げ、そこが依頼をした外部の方々に審査をしてもらい、事業者に「お墨付き」を与える役割を担ってくれることになりました。つまり、全終協に加入していること自体が基準をクリアした安心できる優良事業者ということになります。
こうした事業者のリストができれば、どの事業者が適切なサービスを提供しているのかわかるので、安心して相談できるようになります。
当然、この団体に所属していない事業者もいるので、今後は行政が全事業者にグリップを効かせることも求められます。
そのためにはこの業界を所管する法律を作り、監督官庁を決めて、役所が業界全体をチェックするべきという声もあります。その内容については関係者から知恵をいただきながら検討し、必要があれば立法も目指します。
■ 利用者の経済的負担をどうするか
これら民間事業者の取り組みが形になったことは大きな大きな一歩ですが、全体を見ればあくまで最初の一歩であり、整えねばならない課題は山積しています。
例えば、民間事業者が提供するサービスは対価が発生します。そしてこの対価を負担するのが難しい人がおられるのも現実です。
事業者と契約できる方がより安心で便利なサービスを提供される一方で、経済的な余裕のない方にも、行政が最低限のサービスを提供するべきではないかという議論もあり、厚労省が取り組み始めています。
■ 何はともあれマンパワー
横浜市でも社会福祉協議会が「おひとりさま」の日常生活支援を行っているそうですが、知人のケースでは、施設にいた知人の祖母は申し込んでから順番が回ってきたと社協から連絡があったのは、8ヶ月後。しかも亡くなってからでした。それではこの事業を行っていることにはならないというのが実態です。
現在、厚労省では、地域包括ケアシステムや社会福祉協議会といった現存する機能を活用するスキームを考えています。しかし、現状では人が足りません。また、民間の事業者にも委託するとのことですが、民間にも人手に余裕はまったくありません。とはいえ、この大変な課題から逃げずに取り組んでいることに敬意を表します。ぜひ、現状を押さえた上で、仕事量とマンパワー、予算を必要なだけ配慮するような制度設計にしてほしいです。
この他にも、相続制度、住宅賃貸、後見人制度、緊急時の連絡先などの登録制度など、課題は山ほどあります。
横浜においては「ヨコハマあんしん登録」がスタートしました。まずはこの登録者を増やし、機能させ、多くの人の仕事を軽減する実績につなげたいです。そしてこれら以外の課題についても一つひとつ前へ進めて、一人で生活している方が安心して過ごせる社会を構築していきます。
※トップ画像:「全国高齢者等終身サポート事業者協会」設立記念フォーラムにて(2025年11月26日)
駅頭でお配りしている『時報紙12月号 NO268-1』はこちらからご覧になれます。
あなたのご意見をお聞かせください→ご意見箱
(全角文字で表記されていますので、半角に直してアドレス入力をお願いします)
あなたの声が政治を変える。
意見集約型政治を目指します。







