■休眠預金等活用法の成り立ち
先月埼玉県に休眠預金の活用現場を、日本民間公益活動連携機構(略称・JANPIA、資金分配団体として休眠預金に関する事務を遂行)の案内で、議員連盟のメンバーと視察しました。また、今月の下旬には、関西方面の視察も予定しています。
休眠預金とは、10年以上入出金等の取引がない預金等を言います。これらのお金は、以前はその口座を持つ金融機関の利益として計上されていましたが、それはおかしいのではないか?という声が上がり、今まで行政が取り扱ってこなかったジャンルや分野、方法などで、民間の団体が社会課題の解決のためにがんばっている活動に対して使えるようにしようと、10年前の平成28年12月9日に、休眠預金等活用法案を超党派議連によって議員立法で成立させました。
その法律に基づいて、令和元年から助成事業が実施されています。また5年に一度、法律の見直しをする「見直し条項」のために、令和5年に法律を再び議員立法で改正し、そこで新設された支援手法が令和6年より導入されています。
私は「休眠預金活用の法律を作るために、超党派議連を作ろう」という最初のシンポジウムに菅義偉先生にご指名いただいて出席したご縁で、まずは自民党内の議員連盟立ち上げに最初から関わることとなりました。現在も休眠預金議連の事務局長として関わっています。
■ 休眠預金等活用法の理念
当初、立法作業の折には、いくつかの論点を掲げ、法の立て付けを議論しました。
一つは、休眠預金の支援は民間の公益活動に行うということ。言い換えると、政府や自治体の予算の立て替えや穴埋めには使わないということです。
日本はソーシャルセクターと言われる分野が弱いと言われてきました。NPOなどがソーシャルセクターの代表として想起されますが、アメリカなどと比較をすると財政基盤も人材もまだまだ追いついていないと言われます。
民間の公益活動に支援対象を絞ることによって、結果としてソーシャルセクターの育成機能も担えるのではないか。実際に中間支援団体と呼ばれる「NPOなどを資金面などで支援をする団体」(休眠預金活用制度で言えば、「資金分配団体」にあたる役割をする団体)が、想像したよりも当初は少ない状態でした。
二つ目は休眠預金には呼び水効果を期待するということです。そのため、活動資金の柱を休眠預金に頼らないことを求めています。補助金の打ち切りが活動の終わりとなった事例を、東日本大震災後に数多く目にしました。
休眠預金を活用する団体や活動は3年にわたり資金が入りますが、3年後に資金面において自立的に回ることができるよう試行錯誤してもらい、その間には運営方法などについてJANPIAに相談に乗ってもらいます。
特に民間団体の場合、事業の立ち上げ直後は認知度も社会的な信用も低く、資金を確保するのも難しいのでそこに手を差し伸べ、3年間の休眠預金を活用中に認知度や信用度を上げ、独り立ちをして欲しいと願ってこの制度を作りました。そこには、「本当に社会に必要な活動には、必ず社会の支援の手が差し伸べられるはず」という、私の考え方も入っています。
最後に、インパクト評価の考え方を入れるということです。
社会の変化により生まれてくる新たな課題やその対処の仕方は、民間の方が行政よりも斬新に取り組んでこられています。つまり民間の活動は問題の所在の発見や対応の仕方のヒントに溢れているということです。
行政はその役割上、ある課題が社会でかなり問題化しないと担当部署を設けて予算をつけるのが難しいのが現状です。ですから社会の変化のアンテナ役として、そして今までになかった取り組みなども、提案していただきたいと思っています。
■ 行政ではできない取り組み
そういう思いで、埼玉で2か所、現場を視察しました。今までに資金支援をしてきた中のほんの一例ですが、今回の事例はうまく活用いただいているものでした。
農福(農業と福祉)連携の現場では、牛舎を事務所、カフェ、そして生産現場に変えるための改造費に、子どもの居場所づくりの現場では、すでに展開している学童保育のサービス(特にその中でもプレイパークの活動)を展開するための軽ワゴン車購入に充てていました。
以前、休眠預金の支援金はパソコンが購入できるから助かったという声もいただいただいたことがありましたが、活動環境を整えるにはまとまった資金が必要であり、そこを休眠預金資金で賄ってもらうことにより、活動を広く深く展開してもらうことが可能になるのだと実感しました。当然、それぞれの取り組みに関しては、様々な工夫や努力もされていて、ひたすら感心させられるものでした。
後者の学童保育では、子どもたちが「子ども会議」を開き、学童保育のルールや予算の使い方などを決めるという取り組みを進めていました。子どもたちが使える1年間の予算(10,000円)を何にどれだけ使うのかをみんなで話し合って決めるという話や、高学年が自分たちも低学年の時に配慮してもらったから、低学年の子の希望を優先にしてあげようなどのやり取りがあるという話を聞くと、多くのものを学んでいるということを実感します。
■ 課題解決のための民間の力を育てる
今のところ、休眠預金資金をめぐって大きな不正事案はないものと認識しておりますが、当然、グレーゾーンの事案や小さなトラブルは日々改善を目指し、事務を担っていただいているJANPIAさんに努力してもらっています。当初の理念通り、ますますこの資金が社会の課題解決につながるよう、我々も現場の状況に触れながら進めていきたいと思います。
今月下旬の視察は、直近にサービスをスタートした「出資」の案件やソーシャルセクターを増やすための取り組みなどの状況把握を目的としたいと思っています。
次の見直しに向けて、また力を入れて参ります。

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