■ 迫られる国会延長の判断
通常国会に代わる150日の会期の今回の特別国会は、7月17日に会期末を迎えます。会期末は毎回バタバタとした状況になりますが、野党が反対しない法案や論点のないテーマはすでに決着がついており、現在はある意味「簡単ではないもの」だけが残っています。
現在、自民党だけで3分の2の議席数があるため、国会のルール上では、参議院で否決されるか60日間賛否が出ない場合でも、衆議院で3分の2以上の賛成があれば、つまり日数をかければ野党が反対しても法案を成立させることが可能です。このような状況下で、高市総理が会期の60日延長をどう判断するのかが注目されます。
日本維新の会が主導する「副首都法案」や「衆議院議員削減法案」などは、自民・維新連立時の約束ですが、野党が反対しているため、成立には大幅な会期延長が必要です。延長を選択するかどうかは、大きな不確定要素となっています。
■ 成立すれば16%減
扱いが注目される法案の一つに「衆議院議員削減」があります。自民・維新の与党は、一年以内に国会で結論が出ない場合は比例区の定数を45議席削減して420議席にするという中身の法案を衆議院に提出しています。これが実現すれば、当初「小選挙区300・比例区200」でスタートした衆議院議員の議席が16%削減されることになります。
■ 今回の法案の本当の狙い
今回の法案の意味は、「一年間」という時間を区切ることにあります。与党は比例代表の定数のみを45議席減らす法案にしていますが、実際はこの通りにしようと思っているわけではありません。定数削減に野党が反対しているため、何もしないと、昨年秋に「選挙区20・比例区25削減」の法案が一度も議論されずに廃案となった二の舞になり、無視されるだけで終わってしまいます。
そのため、維新から「時間を区切る知恵」として今回の法案が提案されたと認識しています。反対して無視し続けるなら野党にとって最悪な制度になるため、「今あるべき定数削減を真剣に議論して一致点を見つけよう」という呼びかけなのです。
ですから、新たな合意ができれば、それに合わせて法案を出し直すことになります。野党はこの法案自体に意味がないと批判していますが、1年間という議論の時間制限をつける意味は十分にあります。
■ 相反する組み合わせの制度
私は完璧な選挙制度はなく、決め方の問題だと思っています。
現在の衆議院の選挙制度は、工夫をして、小選挙区制と比例代表制という全く相異なる思想の制度を組み合わせています。小選挙区制は論理的には50%を超える得票率がないと当選できないため、死票が増えるとの指摘がありますが、だからこそ政権交代につながりやすく、政治に緊張感をもたらす狙いがあります。
比例代表制は世論に合わせた議席配分が原則(支持率1%なら1%の議席)ですが、結果として多党化し、やむなく多党による連立政権が出現し、政治の安定性の欠如を招きがちです。また、人ではなく政党を選ぶ仕組みは、日本では国民にまだ馴染みが薄い制度でもあります。
だからこそ、それぞれの欠点を補うべく2つの相反する制度を組み合わせているわけですが、本来は「この選挙制度でいいのか」という全体を見通す視点から議論すべきです。
■ 「小選挙区選出議員」の存在意義
個人的には神奈川五区(戸塚区・泉区)を地盤としているため、どういう制度になろうとも地元活動をするだけですが、理論から言えば「小選挙区選出議員の数を多くすべき」と考えています。なぜなら、日本は二院制だからです。
衆議院と参議院の役割は当然違うと想定されています。
参議院議員は6年任期で解散もなく、じっくりと日本を大所高所から議論する役割があります。その一方、衆議院議員は各選挙区を中心に、住民を代表して地域の実情(農政一つとっても、土地税制や土地政策が大きな課題となる横浜のような都市部と地方の大生産地での課題の違いなど)を国政に反映させる役割を担うべきです。
また、憲法による衆院の優越によって政権(首班指名)も衆院の判断が優先されるため、小選挙区制度の特性である安定化と同時に政権交代の実現性も担保できます。
しかし、現状を見ると、いくつかの野党は小選挙区での議席がなかったり、比例区の割合が多かったりしているため、野党は比例区の定数削減に反対せざるを得ません。
■ まずは「本来あるべき制度」の議論
国会議員の定数をめぐっては、「国会議員の定数を減らせ」という議論が常について回ります。今回は与党から削減を言い出しているためか、オールドメディアでは「日本の国会議員数は多くない」という、今までとは真逆の論調も見受けられるようになっています。この議論も確たる根拠を持つ数字の上の議論ではないため感情論に流されがちですが、一定の根拠のもとに議員数が決まり、この「多い・少ない論争」から卒業することを求めたい思いがあります。
今後どういう展開になるかは分かりませんが、本来あるべき制度を議論し、その理想に近づける制度に変更していくよう努力していきます。
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