■ 5本の重み
6月22日で、今年の通常国会が閉会しました。衆議院では少数与党での国会でした。だからこそ、修正に応じるなど手数をかけながら対応し、政府が法律を提出した59本のうち58本が成立しました。全部が成立しなかったとは言え、98%の成立率は決して悪くないものと言えます。
私が担当した閣法は5本でした。内訳としては、警察関係が風営法改正法と金属盗対策法の2本、防災、海洋(EEZでの洋上風力発電)、日本学術会議関係が各1本。19人の閣僚の中では2番目に多かったようです。
3月末までは基本的に予算委員会が優先して審議されるので、その他の法案は4月に入ってからの審議入りになります。今回、私に関しては、衆議院は「災害対策基本法等の改正案」、参議院は「風営法改正案(悪質ホスト対策)」が4月1日から審議に入りました。この担当5本に加え、他大臣の法案の答弁に呼ばれたのが2本、加えてオンラインカジノ対策の議員立法に関しては、自民党の担当責任者等に電話をしたり直接お願いにまわったりして、環境づくりのお手伝いもしました。

依存症対策基本法の成立後の記者会見
■ 日程との闘い
概ねこうした通常国会でしたが、やはり一議員として、これまで十数回経験してきた通常国会とは全く違うものでした。
総理も含めた閣僚への拘束は想像以上にキツく、前の日まで確定しない国会日程が最優先となるので、他の約束を入れるのが難しいことも度々ありました。また、日本は二院制のため、同じ法案を衆議院と参議院が審議を行います。二院とも出席するという大臣ならではの体験も初めてしました。しかも私は衆議院議員なので、参議院の細かいルールなどが衆議院と異なることもあり、アウェイ感を覚えることもありました。
私の1週間の流れは、月曜日は参議院の決算委員会など、火曜日は衆議院の本会議、参の内閣委員会、水曜日は衆・内閣委、参・本会議、木曜日は衆・本会議、参・内閣委、金曜日は衆・内閣委、参・本会議で、火・金は閣議もあります(総理や事案の関係で、早朝開催になることも多々ありました)。これらの他に、拉致問題特別委員会や参・東日本大震災復興特別委員会に加えて、災害対策を担当する衆・参の特別委員会が不定期に入ってきます。そのため、1日に複数個所で答弁することもしばしばでした。
■ 役所と一緒につくる答弁書
答弁ですが、委員会では質問者とすべて一問一答式です。「答弁なんて役人の書いた紙をただ読むだけじゃないか」という人がいますが、実態は違います。
まず、この答弁書の最初の下書きは確かに役所で書いてもらいます。しかし、それを大臣も一つひとつ質問者の意図などを含めて確認し、幹部と意見交換した上で答弁書を作ります。
つまり単に役人さんの書いた文書ではありません。なぜそれが必要になるかというと、本番の委員会では予定外の質問が来ることを想定しておかねばならないからです。
基本的には「質問通告」と言って、事前に政府側に質問を知らせることになっています。それは何よりも充実した審議のためであり、事前に知ることで資料や数字も調べて確度や質の高い質疑をすることができます。しかし、中には質疑通告をせず、テーマしか明らかにしない質疑者がいたり、通告からはずれた質問をする質疑者もいます。
また、同テーマの質問でも、最後には想定したものとは違う立場からの答弁を求める質疑者もいて、つまり、自分が判断して答弁しなければいけない局面というのは、かなりの頻度で現れます。その時、事前に全体像をつかんでいないと、自分で判断しきれなくなります。そのため、質問事項だけでなく全体像を理解しておくことが必要となります。ですから多くの準備時間が必要になります。
加えて、質問通告を前日の夜に出してくる委員さんがいます。せめて午前中に出してもらっていれば、働き方改革に逆行するような、ほぼ毎回徹夜で準備するような事態にはならないのに…と、申し訳ない気持ちです。その分、法案成立時の内部の打ち上げ会で役所のみなさんの表情に達成感が見えたときは、少しホッとします。
■ 大切なのは社会に活かすこと
法律というのは作って終わりではありません。その法律をどう具体的に活かして社会にプラスに働かすかということが大事です。つまり、これから結果を出していかねばならないわけです。警察関連では、悪質ホスト、太陽光発電施設等からの太い電線を盗む金属盗、オンラインカジノにおいて、それぞれの被害を減らすという結果が求められます。
洋上発電施設も増やさねばなりませんし、災害関連の法案も、災害時に支援してくれる民間団体と有機的な連携体制を作りあげなければなりません。
学術会議は新法を作り、特殊法人として新たに出発することになります。今は反対している方々も含め、「新法を立ててよかった」と言われる新しい学術会議になってもらいたいと、心から思っています。
国会が閉会した今、また次の局面に向けて結果につなげるために全力を尽くしていきます。
※トップ画像は、発災以来たびたび訪問している能登を大臣として視察した際のものです。
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