衆議院議員(6期) 神奈川第5区(横浜市戸塚区・泉区)
防災担当大臣 国家公安委員長
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防災の取り組み ~ 防災先進国・イタリアに学ぶ ~

■ アジア太平洋防災閣僚級会議の招致

防災担当大臣として、大型連休中にスイスとイタリアに公務出張をしました。

スイスではジュネーヴにある国連防災機関(UNDRR)を訪問し、カマル・キショー国連事務総長特別代表(防災担当)と会談。2027年に行われる国連アジア太平洋防災閣僚級会議の日本招致について、仙台市で開催することで合意しました。6月2日からジュネーブで開催されるUNDRR主催の防災グローバルプラットフォーム会合で、各国へ発表される予定です。
仙台市では2015年に『第3回 国連防災世界会議』が開催されており、東日本大震災の現場や復興状況も参加者に見ていただきました。そしてその時の成果文書として、「仙台防災枠組2015-2030」が採択され、国連加盟国はこの目的と目標に向けて努力することになっています。

この枠組では、4つの優先行動「災害リスクを理解し、管理し、軽減させ、対策を取り、災害に遭った時にも『より良い復興』をはかる」と、7つのターゲット「死者、被害者、経済的損失、インフラへの損害を減らし、災害対策を講じる国を増やす」が示されています。
2027年というのは、2030年までの仙台防災枠組の達成に向けて、まさに追い込み局面であり、アジア太平洋地域だけとはいえ、その宣言がなされた仙台で国連の防災会議を開催するというのは、大変意義深いと評価されました。開催時の大臣、市長には、ぜひ会議を成功に導いていただきたいです。

キショ―国連事務総長特別代表から文書を受け取る

■ 災害対策先進国との関係構築

イタリアでは、1980年に発生したイルピニア地震の際の政府の対応が国民から強く批判されたことを受け、国の機関として『市民保護局』を設置し、災害をはじめとする非常事態の予測・防止、管理、及び復興などを担当しています。
現在、イタリアの取り組みを日本の複数の有識者やメディアが「先進的」「日本の参考になる」と評価しています。しかし、制度の全体像が見えず、詳細を聞くルートがないのが現状でした。そこで、まずは教示いただける関係をつくりたいと今回、イタリア市民保護局のチチリアーノ長官にお願いし、ご快諾いただいたわけです。これから防災庁を創設していくなかで、イタリアの制度を研究し、日本に取り入れられるものは取り入れていくべきだと考えています。
今回、イタリア赤十字社と市民保護局、そして2009年に大地震を経験したラクイラ市の現在の取り組みと復興状況を視察しました。その際、各所で言われたのが「日本の復興の速さ」でした。よもや先進国イタリアでそうした評価を受けるとは考えていませんでした。
しかし、16年前にマグニチュード6.3の地震で被害を受けたラクイラ市は今も市役所周辺で復旧のための建築工事が行われており、歴史的な建造物や遺跡などがあるため、復興も難しいとは思いますが、未だに地震の傷跡が明確に見える街中は、例えば私が個人的に関わりを持ってきた岩手県大槌町と比較しても、確かにスピード感の違いを覚えます。

イタリア市民保護局チチリアーノ長官(写真・中央)と

■ ボランティア確保と連携のために

イタリアの取り組みで参考にしたいのは、災害時の人の手配に関するものです。災害時に現地に派遣できる業務ごとに分けられた人材リストが国に用意されており、その中から迅速に被災地に派遣できる仕組みになっています。それらの人材は、必ずどこかのボランティア団体に所属し、一人ひとりの能力管理を団体が行っています。また、業務に関して一定以上の能力を持たせるために、研修なども行っているようです。
そして発災時に、国はボランティア団体に「調理ができる人、〇人」「避難所運営できる人、〇人」「水道工事ができる人、〇人」と要望を出し、各所を調整します。派遣された人はボランティア活動に参加する期間は法律で有給休暇の取得が認められており、国がその人材の人件費を所属する企業に補償として支払うことになります。つまり、現場に入るボランティアは収入が減らない仕組みになっています。
また、ボランティアの寝泊まり場所はイタリア赤十字社等のボランティア団体が用意し、被災者用は地元自治体が中心となって用意するなど、被災者や支援者の環境整備が役割分担されつつ行われています。
このように、ボランティアの収入確保とボランティア団体との連携が大いに参考になります。日本でも災害対策基本法が今国会で改正され、新たに被災者援護協力団体登録制度が創設されます。この制度も実際に動かしながら、よりよいものを取り入れていく努力を続けることが必要です。
また、備蓄と住宅制度も今回の視察の目的の一つであり、実際に参考にすべきものがありましたが、詳細は紙幅の都合上、別の機会に譲ります。

イタリアの州の防災備蓄の水をくみ出す大容量ポンプ

■ 最も基本的な防災対策とは

実はラクイラ地震(M6.3)程度以上の地震は、日本では毎年起きています。昨年は3回、2022年にも最低2回の記録があります。私が現職に就いてから、国土強靭化担当も兼ねるなかで実感しているのは、そうした国で最も基本的な防災対策は、「安全な場所に住む」こと、つまり安全な場所を中心に街づくりを行い、災害の起きやすい場所には住まないことです。
今はハザードマップも精緻なものになってきており、一方で、街は人口減少の流れで小さくなり、コンパクトシティの考え方も取り入れられています。ならば、200年かけて安全な場所への街づくりを目指したらどうか、そしてその第一歩を防災庁設置に合わせて基本理念として掲げたらどうか。これはまだ私一人の考えではありますが、提案しているところです。

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さかい学プロフィール

坂井 学(さかい まなぶ)

衆議院議員(6期) 神奈川第5区
(横浜市戸塚区・泉区)
防災担当大臣
国家公安委員長
元内閣官房副長官
元自民党横浜市支部連合会会長

言いだしっぺです

こんにちは。「言いだしっぺ」のさかい学です。 初めて選挙に挑戦して以来、ずっと続けているのが朝の駅頭活動です。 ここで私は日々の政治課題に対する私の考え、思いをお伝えしています。と同時に、皆さんからのお話をうかがう場でもあります。意見集約型の政治を目指す私の、大切なフィールドです。

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