昨年、情報通信戦略調査会の中の「情報通信インフラ特命チーム」の座長として、骨太の方針に合わせて総理に提言を渡したことは、すでに小紙でもお伝えしましたが、今年はその提言をもとに、骨太の方針、つまり現政権の方針として記述された中身の検証作業を行っています。
光ファイバーの更新作業、5G基地局の増設、国際海底ケーブル敷設、データセンター増設、そして空や宇宙の活用など、それぞれ提言した中身が、濃淡はありますが、今年度の予算で進められていることも確認しました。
■ 求められる「非常時対応」
また、現在調査会の上部組織で概算要求提出の前にまとめようとしている提言には、今年1月の能登地震を受けて、新たに、災害時の体制強化も盛り込む予定です。特に停電により、各地の基地局が使えなくなると、情報収集の核となるスマホが使えなくなります。
現在も主要な基地局には自家発電装置を付けて停電時に備えていますが、それでも燃料などが切れて使用できないところが続出しました。今後は太陽光発電機と72時間稼働できる程度の充電池をセットし、太陽が出ていれば燃料なしでも基地局が稼働できるシステムや、携帯キャリア4社のうちのどこかが使えなくなった場合に、他のキャリアの回線を使えるように、自動で即時にローミングできる環境づくりも提案に入れようと、8月末までの取りまとめに向けて検討が進んでいます。
このように、「提言を一回出したら終わり」ではなく、その提言が実際にどのような形で動いているのか、また、今回の震災時の対応のように、必要があればブラッシュアップしていくことは重要だと考えています。
■ 命綱となる海底ケーブル
その一環で、千葉県南房総市のKDDIの海底ケーブルの陸揚げ局を視察しました。ここでは海外へとつながっているケーブルを陸に上げて日本国内の通信網に乗せたり、日本国内からこの海外ケーブルに情報を乗せています。
この視察にあたり、私が注視していたのは警備でした。
東日本大震災時には、北アメリカへの海底ケーブルは3本しかなく、そのうちの2本が切断されましたが、この陸揚げ局から出ているケーブル1本のみで何とか通信の不自由は免れたそうです。ここが破壊され、使用できなくなると、世界中の情報を多くの人が利用している現代では大混乱が起きかねません。
しかし、様々な説明を伺うなかで、その部分の不安はなくなりました。
例えばサミットなどの重要な会議やイベント時には警備の人数を増やし、通常はこの陸揚げ局一ケ所でも混乱には陥らないと思われます。やはり実際に現場に足を運ぶということには意味があります。
■ 通信を支える海底の技術
以前、この海底ケーブルの敷設・修理船(オーシャンリンク)を見学させていただいたことがありました。北米から日本まで約「1万㎞」と言っていましたが、ケーブルが巻かれた状態でたくさん積まれているのが印象的でした。
ところがこのケーブルの光ファイバー自体はそれこそ髪の毛ほどの細さです。それを保護し、電気を流すための仕掛けが施され、太くなっていきます。この細さで大陸間の海底をつないでいること自体、よくよく考えると感嘆します。そして修理船はこの細いものが切れてもつなぎ合わせることができるのです。これもびっくりします。
ちなみに、北米大陸までの1万㎞を光の情報が行って帰ってくるのにかかる時間はわずか0.2秒とのこと。人間には感知できないほどのタイムラグです。こうした速さ、技術に支えられているわけです。
そして情報を送るのに重要なのが、増幅器とそれを動かす電気の送電です。
50~100㎞毎に1つ、情報をより先に送るために、アンプのように情報を増幅するための機械が設置されています。そして海底ですから、この機械が動くための電気は陸揚げ局からケーブルの中に送電用の膜を通して送られています。直流6000V(ボルト)で5000㎞先の増幅器にこの陸揚げ局から電気を送り動かしているのです。
増幅器が必要だというのも改めて認識しましたし、その動力がケーブル内を通っているというのも、ものすごい技術だと思います。
そしてその電力を確保するために、予備発電のシステムが2系統も備えられていました。
設備の約1/3は、電気を受けたり、いざという時の自家発電用などの送電関係でした。
繰り返しになりますが、通信の安定性を増すためにも、この海底ケーブルはもっと充実していきたいと思っています。
■ これからも時宜にかなった政策提言を
8月末を目指してまとめている提言には、放送やニセ・誤情報対策についても、それぞれを柱にして入れ込んでいく予定です。これらのことについても、機会があれば皆さんにもご紹介したいと思います。
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