• ホーム
  • » 今月の主張 » 国民の生活を支える「骨太の方針」~ 「骨太」の2つの目標、4つの原動力 ~

国民の生活を支える「骨太の方針」~ 「骨太」の2つの目標、4つの原動力 ~

2021年07月01日

「骨太の方針」が6月18日に閣議決定されました。骨太の方針と俗に呼んでいますが、正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」であり、政府の政策の基本骨格とされるものです。
この骨太の方針に沿って各省が個別の政策をつくり、そこに重点的に予算付けすることにより、改革の方向へ進めていこうという手法です。新聞やテレビでは、その名称くらいしか報道されず、多くの方々にその本質的重大さや影響力の大きさを認識されていないのではないかと感じています。

■ 「骨太」でわかる重点施策
例えば自民党の政務調査会の下に様々な調査会や特命委員会、部会などがありますが、これらの政策に関する組織は、自分たちの議論や結論を骨太の方針に反映させるべくこのタイミングに合わせて答申をまとめ、例えば大臣や官邸など政府に申し入れを行います。ですから今年も国会会期末は与党・自民党の各部署ではこの政策方針取りまとめのための作業が同時並行で行われていましたし、これは自民党議員にとっては政策を実現するための大切な作業なのです。
簡単に言うと、骨太の方針に記述されると次年度の予算が付き、具体的に政策として実行されるわけです。つまり、予算の重点配分がなされる分野がどこかということが明らかになるのが骨太の方針なのです。
もちろん、ビジネスにも大きく影響します。

■ 骨太による「最低賃金の引き上げ」
例えば、今回の骨太の方針で注目されている政策の一つと言えるのが「最低賃金 全国平均1000円早期実現」というもの。現在902円ですが、新型コロナウイルス前の年3%程度引き上げを念頭に、早期に1000円に引き上げていくというものです。これは世界各国と比べても日本の最低賃金が低いと指摘されてきた事実があります。
ドイツ1260円、フランス1360円、イギリス1380円、アメリカは州ごとに異なりますが、日本より高く設定しているところが多いとのことです。日本銀行が目標としている物価上昇率は2%であり、やはり現在の経済の仕組みでは少しインフレが良いとされており、これにも最低賃金の引き上げは資するものとされています。
しかし一方で、これを負担する企業側にとっては新たな負担になります。特に中小零細企業にとっては雇用計画の見直しや事業そのものの見直しまで求められるものになりかねません。そのため、全体としてどういう制度設計が求められるのか、ここが大事になりますので、これから担当省庁においてこの方向で政策の取りまとめを進めてもらうということになります。

■ 骨太の2つの目標
今回の骨太の方針における目標は2つあります。
1つめは感染症に対し、強靱で安心できる経済社会の構築です。特に総理も4月の記者会見で触れていましたが、有事とも言える状況下で、それに備えた制度になっていない部分は変えていかねばなりません。
「ワクチン確保は世界各国に比べて早かったのに、なぜ接種開始時期がこんなに遅れたのか?」「日本の病床数は世界で図抜けて多いのに、なぜイギリスの感染者数の10分の1で『医療崩壊』と言われてしまうのか?」など、有事対応に関して必要な法整備が求められています。
2つめは経済の好循環の加速・拡大です。
世界経済の好調を受けて、国内では製造業をはじめとしてコロナ禍以前を超える業績を上げる企業がある一方、コロナ禍で大打撃を受けた企業もあります。事業の継続と雇用の確保、生活の下支えに万全を期していきます。

■ 骨太の4つの原動力
そしてこれらの社会を推進させていく原動力として、今回4つの点を挙げています。
1つめはグリーン社会の実現です。
昨年菅総理が「2050年にカーボンニュートラルの社会を」と表明しました。公害から始まった日本の環境行政で、私が学生の頃までは環境対策は「外部経済」と呼ばれ、本来の経済活動の外側に置かれた「余計なもの」でしたが、今や経済活動のど真ん中となってきました。俗に言われるグリーン技術が主要な成長分野となり、市場規模も巨大になっています。今後力を入れていくべき分野です。
2つめはデジタル化の加速です。
先の通常国会でデジタル庁設置法案が通り、9月よりスタートしますが、まずはデジタル・ガバメントを確立します。国民に利便性を感じてもらうのと同時に、ムダを排し、行政コストを下げます。そして民間部門におけるDX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル化を加速させ、実際の我々の日々の生活に便利さをもたらすこと)を進めます。同時に、便利なだけでなく、そうした技術を駆使することにより、個人でも法人でも自らの可能性を大きく飛躍させていくことを目指します。ありとあらゆる分野への利用が考えられると思いますし、それぞれ大いに成長していくことが期待されます。
そして3つめは、改めての地方創生です。
総理自身が秋田で生まれ育ったということもあり、常に強い意識を持っている分野です。切り口として、最低賃金引き上げ、観光インバウンドの再生、農産物の輸出促進、スポーツ・芸術の振興などを挙げています。
私はそれに加え、地域で経済を支える人材が不足しているので、都市部より移動できる仕組みがあればいいのではとかねてより考えていましたが、今回、地方への人の流れを促進することも大きく掲げられました。それも、移住も含め、週末のみの参加や2拠点居住など様々なスタイルを選べる形になっていることにも大いに期待しています。
4つめが少子化の克服です。
不妊・不育症対策は今回拡充されていますが、それだけでなく子育てしやすい環境も求められ、包括的な政策をひとまとめにしたものを年内に策定します。
簡単に説明しましたが、骨太の方針は政府の目指す方向を示すものですので、是非機会を見つけて確認していただきたいと思います。

経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2021はこちらから。

21年7月号 NO216-1はこちらから。

あなたのご意見をお聞かせください→info@sakaimanabu.com
(全角文字で表記されていますので、半角に直してアドレス入力をお願いします)

あなたの声が政治を変える。
意見集約型政治を目指します。