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携帯電話業界の改革 ~ 通信インフラを国民共用の財産とするために ~

2019年10月01日

9/27の朝刊に「消費者庁が携帯電話の端末『最大半額引き』と謳う広告について、実質負担額が半分以上になるケースがあるとして、携帯電話会社(以下、キャリア)に改善を求めた」という記事が載りました。
指摘を受けたキャリアの提供するサービスは、端末の料金を48回(4年間)で払う形で毎月の支払いを進めていき、2年後に使っている端末を返却して新しい端末を新たに購入し、引き続き新端末分の料金を支払い続けるならば、旧端末の残りの24回分の残高は免除する、というものです。
今回の消費者庁のアクションは、行政指導を行うには手続きに一定の時間がかかるため、その間に不利益を被る消費者が増えないように、キャリアに改善を求めると同時に消費者に注意喚起を行ったものだと私は理解しています。

■ 「最大半額引き」の実情
このサービスを提供していたキャリアは2社あり、どちらも仕組みは一緒で、これに加入し続けるための料金も月々390円(2年間で9,360円)と同額になっています。
計算してみると、90,000円程度のiPhoneであれば、残債免除(残り2年分の値引き)は45,000円ですが、過去2年分の端末代45,000円、サービス加入料9,360円を既に払っている上、自分が45,000円支払った端末も返却。
端末の状態がよければ20,000円前後で引き取ってもらえる価値のあるものです。加えて、端末の状態が悪いと、追加負担も請求されることになっています。こうしてみると、端末代最大半額引きと謳うのはいかがなものでしょうか。

■ 「携帯電話は高い」を変える
今回の記事を見て、私はとても残念でした。2年前に私が総務副大臣に就任したとき、日本の携帯電話の通信料が主要各国と比べて図抜けて高いことを知り、改善を進めてきました。
日本の通信料金が高い理由の一つは、携帯端末を値引き販売し、その値引き分の原資以上の利益を通信料で回収していることでした。
先の通常国会で電気通信事業法を改正し、通信料と端末代金は別々にすることを法で定め、今までのような抱き合わせ契約ができない環境をつくりました
今回のガイドラインでも、総務省はキャリア乗り換え時の違約金を1,000円以下にするなどの方針を盛り込み、よいサービスを消費者が選択し、使いやすくするため、電話会社間の乗り換えのハードルを低くしました。
今までのビジネスモデルは、端末の安さで消費者を引き寄せ、契約後の乗り換えには1万円近くの違約金を請求するなど、キャリアを移るハードルを高くして顧客を囲い込み、加入者の移動を抑える仕組みになっていました。結果、三大キャリア間での競争を排して、適切な料金に下げる必要がなくなっていました。
それを競争原理を働かせることで、よりよいサービスを適切な値段で提供している会社を消費者が選択できるように、というのが一連の改革の方向です。

■ 法改正の「精神」
競争原理が働かなければ、どこかに歪みがでます。この業界ではそれが世界的に見ても高い通信料という形で消費者にしわ寄せが出ています。
今回指摘を受けたキャリアはサービスプランの名称こそ違え、仕組みも料金も全く一緒。徹底して横並びで差をつけず、競争を避けた形です。
一連の法改正やそれと連動して行ってきたガイドラインの趣旨に反することをしているにもかかわらず、「法やガイドラインには反していない」と総務省の担当者に言ったと聞いています。
業界の「法に反していなければ何をやってもよい」という考え方が残念でなりません。
確かに法やガイドラインには反していませんが、法やガイドラインが示している考え方・精神とは真っ向から対立しています。
今回の法改正では回線契約を条件に携帯端末の値引きをしてはいけなくなりました。
今回の2社のプランも、厳密には回線契約が値引きの条件にはなっていませんが、100日間は端末を購入したキャリアの回線しか使えないロック(SIMロック)がかかっています。せっかく新しい端末を買ったのに、100日も使わないという状況は現実的ではありません。
結局回線は端末を買ったキャリアで契約し、100日後に乗り換えることができますが、その手間をかける人が極めて少ないことを考えると、これも実質上の“縛り”と言えます。
キャリアが「ガイドラインで禁止していないのでやる」ため、総務省も「クレジットカードで購入するなど、信用確認措置に応じた消費者には、SIMロックを100日かけることは禁止」にしました。これにより、安い会社で端末を買い、そこで契約せずに、安くよい通信サービスを提供している会社を選択し、即日契約できるようになります。
このガイドライン改正は10/1~意見を集め、その結果を踏まえて11月中旬に改訂予定です。

■ 変革が期待できる業界の環境
10月からの予定であった第4のキャリアの本格参入が少し遅れています。
フランスでも4番目の会社が参入して、競争原理が機能し、料金が下がっています。私たちにとって信頼ある4番目の選択肢になってもらうことにより、健全な競争が行われる業界になっていくことを期待しています。
また、今回の改善を求められなかったキャリアがあったこと、つまり法やガイドラインの精神を理解してサービスプランを作った会社があったことが私にとっては救いでした。まじめにやった会社がバカを見ることがないようにしていかねばなりません。
なお、消費者庁から指摘があってすぐ、対象の2つのキャリアは対応しています。1社は指摘されたプランそのものの撤回を表明し、もう1社は「半額」という単語を使うのをやめると発表しました。
SIMロックについても、総務省の方向で10月より既に対応しています。

■ 総務委員会の筆頭理事として
この秋の人事で、私は携帯電話関連も扱う総務委員会の筆頭理事になりました。
総務委員会での与党の責任者です。野党側の筆頭理事と委員会運営の具体的なスケジュールや中身を決めていくのが主な仕事です。
先月までは委員長職でした。委員会開会の権限を持つ重要な役ですが、原則として委員会の円満な運営を行うことが大前提で、与野党ともに目を配りながら進めていきます。そして筆頭理事を中心に、理事会で決まったシナリオに沿って議事運営を滞りなく進めることが求められています。
一方、筆頭理事は与党・野党の委員会の代表ですから、それぞれの立場を主張し、交渉することが仕事です。
表舞台には出ない役回りではありますが、委員会運営の重責を負うわけですから、改めて気を入れて臨みたいと思います。

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