統計調査の意義 ~ 厚労省の調査不正発覚と統計法の改正 ~

2019年02月01日

平成31年の通常国会がスタートしました。第198回国会となります。6/26までの会期のため、途中で元号が変わる国会となります。

■ 「毎勤」調査とは
今回、国会開会前に厚生労働省の「毎月勤労統計(以降、「毎勤」)」の調査方法に関しての不正が発覚しました。基幹統計全体の信頼を揺るがす大問題です。基幹統計とは、国や自治体が作成する統計全体の中で有用性や効率的な観点から重要だとして、統計法で指定されている56の統計のことです。
「毎勤」はそのうちの一つで、日本標準産業分類に基づく16大産業に属する常用労働者5人以上の事業所を対象にした賃金、労働時間及び雇用の変動を毎月把握する調査です。実際に雇用保険(失業手当)の支給額などもこの数字を基にして作られていきます。そのため、実際に支給額に影響が出ています。
ルール上は500人以上規模の事業所は全数調査をするようになっており、また厚労省は全数調査していると報告していながら、東京都の1464件の事業所のうち、約三分の一の491件しか調査していなかった上に、補正もせず調査した分のデータしか反映させていませんでした。
東京の平均賃金は地方に比べて高いので、東京の約1000社分のデータを反映させていないことにより、本来より数値が低くなっており、例えばのべ約1900万人の雇用保険の支給額に一人当たり約1400円平均の不足が出ることになりました(影響は雇用保険以外にも波及しています)。
厚労省は不足額をきちんと補填するために改めて支給することを発表し、その体制づくりを急ピッチで進めています。同時に総務省統計部局では、他の55の基幹統計についてもいい加減なことがないか調査をさせました。
また私たち与党としても、厚労省はなぜ全数調査を抽出調査に勝手に変更した上に、虚偽の報告を総務省にしていたのか、その影響はどこまで波及するのか、こういったことを再発させない仕組みをどう組み込んでいくかなど、徹底して明らかにし、対策を打っていかねばならないと思っています。

■ 不正調査のもう一つの原因
しかしその一方で、今回の不正のもう一つの原因は、統計の重要性が十分に認識されていなかったことだと私は考えています。
実は、今回この不正が明らかになった一つの理由に、昨年行われた統計法の改正があります。自民党内でもきちんとした数字を基に、事実に基づいた政策議論を重視すべきだという意識が一層高まっており、統計の重要性を再認識すべしということで法改正につながりました。
今回の法改正では、行政機関に統計作成の際に協力する努力義務を規定したり、調査の範囲を拡げたり、またそれらの発表のルールを決めたりしています。また、統計委員会(専門的かつ中立・公正な第三者機関)の機能強化が盛り込まれています。
今までは、統計委員会は国から諮問などをされた場合、それに対して意見をつけるだけでしたが、今回の改正で諮問を待たず公的統計の重点的な整備等の幅広い事項に関して、機動的に提案をすることや計画通り各役所が業務を行っているかどうか実施状況を検討し、問題があれば総務大臣や各関係大臣に勧告することができるようになりました。また、各役所との連携強化のため、各役所に幹事を設置してもらい統計委員会との間の調整を行ってもらうことにしました。

■ 不正調査が発覚したわけ
今回の厚労省の不正ですが、昨年の12月13日の会議で、統計委員会の村田委員長から全数調査でないのは大きな問題ではないかとの指摘を受けて、更なる調査を行い、発表に至っています。この一事は、今回の統計改革が機能したことを示しています。
法改正が奏功したという意味ではその有効性を証明できたとも言えますが、今回56の基幹統計のうち、23の統計に何らかの問題があったことも明らかになり、そのお粗末さ、その扱いの軽さに愕然としました。
遅きに失したのは言うまでもありませんが、それでも不正がわかったのですからこれから立て直していかねばなりません。この問題は政府が発表する数字の信憑性に直結します。実態に基づく信頼できる数字の上でしか政策的議論はできません。その根底を揺さぶられていることになります。国民もですが、与党議員である私たちもそのデータが正しい数字かどうか、自分で確かめるすべがないわけですから、半信半疑に陥りかねません。
今回こういう問題が発覚した政府統計にどうやって信用を与えていくか、大変難しい問題です。難しいですが、乗り越えていかねばなりません。総務省の統計部局をはじめ、関係部署の支援、てこ入れを行っていくと同時に、国民にその進捗状況をお伝えし、いち早く統計の信頼を回復できるよう努力していきます。

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