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概算要求の「シーリング」の変化 ~ がんばった省庁が報われる仕組みづくり ~

2019年08月01日

先月参議院選挙が行われました。改選過半数を超える議席をいただき、引き続き安定した国政を行っていける環境を与えていただいたわけで、今まで以上に気を引き締めて仕事にあたっていかねばならないと思います。
実際、一人区では何人も競り負けており、政権与党に対して厳しい声があることを感じざるを得ません。実際地元で開催されているお祭りなどの場で、政府や自民党に対する不満や要望をよく伺います。
気の緩みに起因すると考えられるご指摘も多く、秋からの臨時国会を迎えるにあたり、もう一度気を入れ直していかねばならないと思います。

■ 8月は概算要求の月
さて、現在、国会は閉会しています。永田町、霞が関もお休みですねと言われることがありますが、実はこの時期は来年度の概算要求の取りまとめの時期です。
先月決定した令和2年度の概算要求に対する基準に従って、概算要求と税制改正要望を出す締め切りが8月31日です。各省がその作業に追われています。
予算の決まり方ですが、現在は概算要求として各省の要望金額を出した後で、12月24日前後の来年度予算案の決定まで、財務省主計局と各省との折衝が続き、概算要求時の総額を絞る作業が続きます。
そして最後に、各省大臣と財務大臣が直接会って、最後まで残った懸案事項を確認して案としてまとめていくことになります。
12月末にできるこの予算案に細かい数字まですべて揃え、予算書にして、1月召集の通常国会の衆参の予算委員会で審議され、予算として成立していきます。

■ 進化している「シーリング」
実はこの中で第2次安倍政権以降、大きく変えてきたポイントがあります。それは概算要求基準です。先月末に閣議決定されましたが、シーリングの考え方がここ何年か変わってきています。
以前の概算要求のシーリングは厳格なものでした。当時は「各省庁に来年度つく予算の総額」の意味があり、夏が予算獲得の一つの大きな局面となっていました。
個別の個所にどれだけ予算がつくかという「個所づけ」は冬に向けても作業は続きますが、夏のシーリングで低い額しか取れないと全体の予算が圧迫されるので、少しでも高いシーリングを求めてしのぎを削っていました。
現在はというと、各省に効率性・生産性を考えてもらう一方で、現状の社会の変化にも速やかに対応してもらわなければならないという考え方で、2つの手順で行われています。

■ 2つの「シーリング」の考え方
一つは裁量的経費(年金医療・地方交付税・義務的経費以外の政策用経費)に関しては、基本的に一律9割に抑えるようにということです。
これは何年か実施してきている事業なのだから効率を上げ、生産性を上げることによって同じ内容のものでも今までより少ない予算で行えるように、または成果を上げることに必要な予算額を下げていくなどの工夫を求めていることになります。
もう一方では、時代や社会の変化に応じて求められる新しい施策などに関しては、できるだけ自由にまた、創造力を発揮して提案を出してほしいということで、減額した1割分の3倍の金額まで出せることになっています。
前年並みの予算を確保するのであれば、新規事業がなければ届かないということになります。つまり、常に新しい政策の提案を求める形となっているわけです。

■ がんばった省庁が報われる工夫
とかく前例を引き継ぐことが多いとされる行政の体質を、新しい政策を考えさせるものに変えていく工夫です。
1割削減された分を新規に見せて政策の名を変えて取り返しているだけで効果はあまりないという人もいますが、毎年新規事業を提案していくのは担当者にとってそれなりの負担になります。政策を考えるいい機会になっていることは間違いないと思います。
そして義務的経費を削減してきた場合も、その金額分を裁量的経費の9割分に上乗せすると同時に、その金額分の3倍まで要望枠を認めることにしています。とにかくがんばった省庁が報われるようにとの財政当局の工夫です。
これらの結果、概算要求は当年度予算より大きくなることになります。枠いっぱい使えば、0.9+(0.1×3)=1.2倍まで要求できることになるのです。
つまり今の予算の概算要求は、本年の予算の枠よりも多く要求させて、12月末に向けて絞り込んでいくというスタイルになっているのです。
以前はこの概算要求のタイミングで総額が決められ、あとはその枠の中での使い方が議論されたわけですが、今は枠そのものも決めていないなかで、よい提案は残すなり拡充していくという方向で冬に向けての議論で固めていっているわけです。
今は原局と主計官や担当主査が話をしていくなかでよりよい政策になれば、当初の要求よりも拡充されることもあり得ます。
例えば今年からスタートした、総務省が取り組んでいる統一QRコードによるキャッシュレスの推進事業ですが、昨年当初の要望のタイミングでは実証実験は1県の予定でした。
しかし主計局とその重要性などを議論するなかで、今年4県で実証実験を行える予算がつき、実際に実験が展開されています。その結果、効果が上がれば、全国に展開していくという状況になっています。
制度やシステムはそれをいかに活用するか、使う側の裁量に負うところも多いと感じています。今年も8月は概算要求に向けて各省が知恵を出し合って、いい政策を出し合う機会になればと願っています。

 

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