漁業改革 ~ 日本の漁業の未来を守るために ~

2019年05月01日

先月24日に、自民党行政改革推進本部の規制改革検討チーム(PT)の座長として、漁業改革を取り上げ、その提言を菅内閣官房長官と規制改革推進会議担当の片山大臣に提出しました。

■ 漁獲量が減っているのは日本だけ
日本では、漁業は斜陽産業のイメージがありませんか?
実際に、東日本大震災の被災地の方々にお話を伺っても、「漁獲量が減っている」「後継者不足が深刻」などの声が多く、楽観的なコメントがほとんど聞かれませんでした。
また、ホッケが小さくなったとの指摘や、秋田県のハタハタやスケトウダラなどの魚種がほとんど獲れなくなった事例も報告されています。
ところが、漁獲量が減っているのはほぼ日本だけで、ノルウェーなどの北欧やインド、インドネシア、そしてアメリカなどにおいては典型的な成長産業です。ICT化も進み、生産性も上がっており、活力ある産業となっています。
一体、日本の漁場で何が起きているのでしょうか。
有識者は「簡単に言うと、獲り過ぎで、日本近海に魚がいなくなっている」と説明しています。今まで日本の海は豊かだと言われていましたが現状は変化しているようです。

■ なぜ魚を獲り過ぎたのか
その大きな原因は、水産庁の資源管理が適切に行われてこなかったことにあると考えています。
例えばスケトウダラ(日本海北部系群)。1992年には14.6万トン獲れていたものが、25年後の2017年にはわずか0.5万トン(約30分の1の量)にまで落ち込みました。
スケトウダラに対する水産庁の過去10年の対応を見ると、2014年までは「生物学的にこれ以上獲ると魚が減っていく量(ABC)」の倍ほどの量を獲っていい量、すなわち「漁獲可能量(TAC)」としてきました。
実際の漁獲量はABCの量を大きく超えるので、結果として魚が減り、この10年だけを見ても漁獲量が約4分の1になりました。
普通に考えれば、TACは魚資源が減らないようにABCより多く設定してはいけません。水産庁が初めてTACを魚資源が減らない量にしたのは、漁獲量が1万トンを切った翌年の2015年になってからでした。
これでは魚資源が減っていくのは当たり前です。
また、実際にTACが設定されているのは現在わずか8魚種ですが、すべての魚種で水産庁に許可された量まで獲れていません。水産庁の想定しているABCの数字よりも実際には魚がいないのではないかとの疑いも出てきています。

スケトウダラ(日本海北部系群)のABC・TAC・漁獲量の推移

■ 大切なのは、漁業法を実現すること
これらの事実を踏まえ、昨年12月に70年ぶりに漁業法が改正されました。
まず、政府の規制改革推進会議で、漁業改革をテーマに取り上げ、その提言を元に法改正を行っています。
今回私たちは与党の立場でこの漁業法の理念を迅速に実現するために具体的にどうするかを議論し、提言を取りまとめました。今度はこの提言の中身を政府の規制改革推進会議で取り上げて、問題点の解決策について詰めてもらいたいと考え、菅官房長官に提言書を手渡したわけです。

■ 今回の提言のポイント
今回の提言のポイントは、最新の科学的知見に基づく資源評価を行うと同時に、徹底した資源管理を行っていくことです。そのために、現在資源評価の作業を行っている「独立行政法人 水産研究・教育機構(以下、水研機構)」の資源評価に関しての権限を明確にすることと同時に、中立性・独立性・透明性を確保します。
現在、水研機構の資源評価に関しては、水産庁から仕事を受注する形で行っています。この形だと、発注者に遠慮して自由に水研機構が研究やその成果の発表もしづらいと考えます。実際に、党本部の会議で水研機構の方が「水産庁の許可無く、ここで数字を言うことはできません」と、回答を拒否したことがあります。こういう状況の中で発表されるものを、多くの関係者が信じることができるでしょうか。
まず、私たちは水研機構の資源評価の部分を切り出し、水産庁だけでなく、内閣府や環境省も巻き込んで、新たな科学調査・評価機関を創設することを提言しています。
そして、資源評価検討段階で、第三者による公平・中立なピア・レビュー制度を創設し、その議論を誰もが見ることができるように公開し、必要であれば、そこでの議論が本当かどうか、後から確かめることもできるようにします。
そのため、この評価委員の人選では利害に絡む人や水産庁などの元職員、仕事を出してもらっていた人などは徹底して外さなければなりません。
また現在、ほとんど公開されていない議事録や使われた資料などを公開することで、そこで決められた数字に信憑性が出てきます。
資源評価がきちっとできた後は、それに沿った資源管理が大事になってきます。私たちはその中の手法の一つとして、休漁や漁船ごとの割当制なども挙げています。これらは大変な作業ですが、必要な予算などは水産業を応援している議員とも協力して確保する努力をしていきたいと考えています。
休漁などは漁場者に対して「仕事をするな」と言うことになるので、当事者の生活設計にも関わってくる話です。しかし、やるなら今しかありません。
現在、資源量が少ないために、成長途中の魚を獲り、その魚のサイズが小さいために、単価が下がって収入が減っています。加えて、産卵前の魚を捕って将来の漁獲量も減らしています。
このままでは日本の沿岸漁業は続かなくなると思います。
今まで先延ばしにされてきましたが、今、ここで勇気を持って大きく路線を変えなければならない。今回の事案は、日本の将来を大きく左右する問題であると認識して取り組んでいきます。

※提言書の全文はさかい学のHPの「仕事を語る・漁業を『成長産業化』するために」のページをご覧ください。

 

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