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G20デジタル経済大臣会合の報告 ~ 国益のぶつかり合う現場から ~

2018年09月01日

8/23~24にアルゼンチンのサルタ市で、G20のデジタル経済大臣会合(情報通信分野)が開催され、総務大臣の代わりに日本の代表として出席してきました。来年のG20は初めての日本開催ということでアルゼンチンの大臣が議長を務めると同時に、昨年の開催国・ドイツと来年の開催国・日本が共同議長として臨んだ会合でした(日本からは経済産業省も大臣政務官が出席)。

■ G20とは?
G20は経済規模の大きな国・地域からなるグループです。G7の各国に、ロシア、中国を始めとする12カ国、それに地域としてEUです(このメンバーで世界全体のGDPの90%、貿易総額は80%を占めることになります)。
1999年より財務大臣・中央銀行総裁会議が開催され、その後2008年からは世界金融危機の深刻化を受けて、首脳会合が開催されるようになります。そして首脳会合の他に、必要に応じて各分野の各国・地域の担当大臣が集まる会合を行うことになっています。
例えば今回のアルゼンチンでは首脳会談(サミット)の他に、11の大臣会合が予定されています。中には同じ場所で日を一日ずらして行い、双方が出席する合同会議を行う場合もあります。
開催場所もブエノスアイレスの他、今回デジタル経済大臣会合がサルタ市、労働大臣・教育大臣会合がメンドーサ市など、各所で行われるようセットされます。来年の日本でも首脳会合は大阪ですが、つくば、愛知、軽井沢、福岡、北海道など、各地域に各国・各分野の大臣を集めて行うことになっています。地域活性化や観光、地域の宣伝の面からもその方が望ましいと私も思います。

■ 各会合の進め方
G20の開催国は各会合の議長を行い、どの大臣会合をどのように行うかも決定します。
例えばデジタル経済大臣会合は前回のドイツに続き、今年で2回目の開催です。それ以前はこのテーマでの大臣会合は開かれていませんでした。また、今年は単独で開催されましたが、来年の日本ではこのテーマの大臣会合を貿易大臣会合と一緒に行うことにしています。デジタル経済大臣会合が毎年行われるようになってきているということからも、昨今、大変重要なテーマとして浮上していることがおわかりいただけると思います。

■ デジタル経済大臣会合のポイント
詳しい中身については総務省ホームページをご覧いただきたいと思いますが、今年の会談では主に以下の点の重要性が指摘・確認されました。

(1)電子政府の実現
ICTを行政に活用していくことが行政の近代化・効率化を推進し、デジタル経済の発展に貢献する。

(2)デジタルにおける男女格差の解消
女性のこの分野への参画を進めることで、男女格差を解消し、持続的・包摂的な成長を可能とする。

(3)デジタル経済の計測と明確なデータの捕捉
きちっとしたデータに基づく政策立案を目指す。新たな技術やイノベーションが雇用や産業に与える影響を評価し、それらの技術を採用する際のリスクを低減させる。同時に所得の不平等も低減させる。

(4)デジタルインフラの促進
デジタル化の恩恵をすべての人が享受できるよう、すべての人がインターネットにつながることができるインフラを整備。そのために、競争政策を推進することや透明で安定的な環境を整えることで投資を促進する。

(5)革新的技術
G20各国での成功事例を多くの人が共有できる仕組みを作り、途上国・中小企業、一般の個人なども最先端の技術を活用できるよう、環境整備を進める。

この中で、特に(4)は日本が今回のG20に提起して新たに重要な項目として議題に挙 げたものです。こういったところにも日本の存在感が少しずつ大きくなってきていることを感じます。私も全体会合においてこれらの点に関する日本の取り組み状況を報告し、今後国際的にこれらのテーマを議論していくことの重要性を訴えました。
また、国対国のバイ会談も4カ国1地域(サウジアラビア、EU、アルゼンチン、アメリカ、フランス)と行いました。お互いの協力関係を推進することを確認すると同時に、国際機関においての様々な選挙の支援依頼も行ってきました。
こういう点も日本の国益を考えて、日本にとって必要な相手と優先的に会談を行うように努力しています。実はこの倍以上の国からバイ会談の申し込みがあったそうですが、日程の合間を縫っての会談はこれが精一杯。しかもアメリカ、フランスとの会談ですら全体会合のスケジュールが遅れた関係で、時間も場所も予定していた通りにならず、「5分後からならできる」で開始し、場所もオープンスペースのソファーに座って行ったりしました。

■ 国際会議は国益を主張する場
国際会議は各国の国益のぶつかり合いです。今回もそれを実感する場面がありました。
文書のある点について、アメリカとEU、フランスが文言で折り合いがつかず、全体会合の開式が1時間以上遅れたのです。その上、それぞれが、ホワイトハウス、ブリュッセルのEU本部へ確認を取ったため、閉会間際にやっと合意にこぎ着け、閉会に文書の印刷が間に合わないという事態になりました。
通常は事前に各国調整を済ませておきます。G20はG7よりも立場の異なる国々が集まっており、元々どうしてもコミュニケは総論的になってしまうと言われていましたが、今回はG7のメンバー同士での対立。国際会議・社会で、国益を主張するということはどういうことなのかということの一端を教えられた気がします。

■ デジタル経済大臣会合の意義
国民、領土、主権の三つが揃って初めて国民国家と言われますが、今の国際社会を構成しているこの国民国家の枠組みでは、デジタル経済はすでに律しきれないところに来ています。その国にとって困ったことが起きても、一国家では対処しきれなくなっています。だからG20のような大きな経済規模を持つ多数の国の集まりで、共通の新たなルールを設定しようという動きが出てきます。国民国家の一つの限界なのでしょうが、自由主義との狭間の中で、国家権力によって簡単に規制できるものでもないし、なかなか判断の難しいところだと思いました。
私にとって今回のG20は、国交省の政務官のときのOECDの会議、財務副大臣のときのG7の財務大臣会合に次いで政務として3度目の国際会議でした。自分の見てきたもの、経験したことをしっかりと今後に活かしていきたいと思っています。

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