災害対策基本法 ~ 自然災害に備え、対応するために ~

2017年08月01日

7月中旬に福岡県朝倉市に伺い、地元の地域づくりのグループに戸塚・東戸塚駅でお預かりした募金を託してきました。昨年の九州・熊本震災以来、避難所での炊き出しなどでおつきあいのある人吉球磨を中心に地域活動をしている「ひとくまねっと」のみなさんとともに活用するということでした。


↑朝倉グリーンツーリズム協議会の矢野会長(写真右から2番目)、星野さん(写真左から2番目)とコーディネートしてくださった、「ひとくまネット」の藤本さん(写真左端)、本多さん(写真右端)。中央がさかい学。

この九州北部の災害をはじめ、既に今年も秋田、信越、北陸、島根などで豪雨災害が発生しています。当然、国も各自治体とともに災害対策には努力していますが、時に自然は圧倒的な力でそれらの努力も無に帰させ、災害を発生させます。そのため、防災対策とともに、災害発生時に被害、特に人的被害を少なくするための対策と、災害後の住民と街の速やかな復興への対策が求められてきました。

■災害対策の3分類

昭和36年制定以降、必要に応じて何度か改正されてきた災害対策基本法では、国、都道府県、市町村、運送、医療、電気、通信などの事業者の指定公共機関それぞれの責務が明確化されています。災害対策はこの法においては、災害予防、災害応急対策、災害復旧という3つの段階に整理をして、役割、権限を規定しています。
また、被災者保護対策の中には、発災時に支援が必要となる高齢者や障害を持つ方々などの要支援者名簿の事前作成も市町村に対して義務づけられています。
復興についての激甚災害制度の拠り所となる条文もこの法律にあります。

■地域事情に即した災害対策

基本法として全体の役割分担や意思決定を行っていく枠組みを示した上で、河川、地震、豪雪、原子力などの各災害の対策に関しては、それぞれの法律があります。
私の選挙区となる神奈川5区内(戸塚・泉・瀬谷区)に関係するものでは、たとえば土砂災害に関して言えば、土砂災害防止法があります。この法律においては、土砂災害の恐れのある地域の明示とその危険の周知、避難態勢の整備の他、新規立地の抑制、既存住宅の移転促進等のソフト対策などを推進する内容となっています。

■危険周知がなされなかった理由

平成26年8月に広島で起きた土砂災害では、広島県によるこの危険地域の明示がなされていなかったため、豪雨時の避難施設や保育所などが危険区域に設置してあったことが判明しています。危険地域であるとわかると、土地の価格が下がったり使いにくくなったりするので、法施行後15年経っても、当時は法律に則った危険周知がなされていませんでした。ちなみにその後の法改正により、今では全国で66万カ所以上が、神奈川県内では1万カ所以上が危険な地域と推定されています。

■対策が浸透しない「住民心理」

また、この法律の中では、情報の伝達方法の確立、ハザードマップ等の配布など、危険の周知、警戒避難態勢の整備を行うようになっています。しかし、「大雨の中、自宅から出て避難所へ移るのが面倒くさい」「このタイミングで避難所へ行って、自分しかいなかったとなったら恥ずかしい」「ここはまだ大丈夫だろう。もう少しひどくなったら避難しよう」など、危険の伝達を行っても、実際の避難にまでつながらないケースが多々あると聞きます。
法律や制度を作っても、それだけでなく、実際にその状況に直面したときの対応まで適切に行われないと、効果が出てこないということです。各自治会、町内会、また連合や防災拠点などで訓練が行われていますが、それらの取り組みは実は様々な面から重要だと改めて感じます。

■復興を加速するための制度

人的被害最小化とともに、災害後の復興が大きな課題です。今回、朝倉市の後に南阿蘇村も回って来ました。南阿蘇では、昨年の災害の爪痕が未だあちこちに見られましたが、昨年の発災直後、「もう阿蘇は終わりだ」とうなだれていた方が、今は「以前に倍して素晴らしい阿蘇にする」とがんばっていると伺いました。まさしく復興に向けて変わりゆく環境から元気をもらっているのだと思います。
深刻な災害からの復興のために、国庫補助を多くして手厚く支援していく「激甚災害制度」が設けられています。この制度では、被害状況を①公共土木施設等 ②農地等 ③中小企業者等 の3種類に分類し、それぞれ独自の基準を設け、各分野で全国を対象にするような災害(本激)なのか、もしくは特に被害のひどかった都道府県や市町村を指定すべき災害(局激)なのかの判断をしていきます。
今回の九州北部豪雨災害では、農地等の復旧事案等は「本激」、公共土木施設に関しては「早期局激」(対象地域:福岡県朝倉市、東峰村、添田町、大分県日田市)に、中小企業への保険の特例措置は「局激」(対象地域:朝倉市、東峰村)となる見込みであると発表しました。早期局激とは、年度末までの集計結果を待たずとも、その地域においてはひどい災害であることが明白であるので、通常より早く指定するものです。
どちらにしても今回の災害においても、被災者の方々が受けたショックは想像を絶するものがあると思います。一日も早くその地域の、その街の再建に前向きな気持ちになれるように、国、自治体、地域で協力していければと考えています。