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前財務副大臣から見た秋からの経済対策 ~ 国内外の情勢を考慮した4本の柱 ~

2016年08月01日

参議院選挙が終わりました。連立与党で改選議席の過半数以上という結果をいただき、政治を機能させていかねばならないと、決意を新たにしました。
今の経済や国際状況などを考えて、安倍総理から秋に向けて経済対策を組むようにと指示が出ました。それを受けて、財務省と内閣府を中心に各省庁その他の知恵を入れて取りまとめ、7/28に自民党政調全体合同会議で承認いただき、8/2にも党内手続きを完了させ、閣議決定しました。
総理が講演で、全体の事業規模で28兆円以上、財政措置で13兆円以上と話しましたが、かなり大きな経済対策になるかと思います。

■経済対策の4本柱
今回の経済対策は、4つの柱からなっています。
①「一億総活躍社会の実現」の加速
②21世紀型のインフラ整備
③英国のEU離脱(ブリグジット)に伴う不安定性などのリスクへの万全の対応
④熊本地震や東日本大震災からの復興や防災対応の強化

■経済対策の留意点
今回の経済対策を組むに当たり、いくつかの注意点がありました。
一つは今までの施策との整合性をとると同時に、前倒して進めることによりいち早くその効果を得られるものを優先的に選ぶということです。
また、財源的には十分な余裕がないなかで手当てをしていかねばなりませんが、安易に赤字国債に頼り、発行するようなことはしないということです。
これから経済対策を実施するための補正予算を組むことになりますが、現状に即して様々なやり取りをし、工夫して財源を集めていくことになろうかと思います。
そして最後に、マイナス金利下の低利率を勘案して財政投融資を活用しようというものです。
以前は郵便貯金の預り金を財政投融資として活用するなどしていましたが、今は計画を立てて市場から有利子で調達しています。返還が求められる資金ではありますが、投資した結果、収益増が見込まれるインフラ事業などに融資する形で活用することを考えています。
特に安倍政権はインフラ輸出を成長戦略の一つの柱としているので、うまく活用することでその後押しになります。今回で言うと、リニア中央新幹線の計画前倒し、整備新幹線の建設促進、JBIC(国際協力銀行)を通じた高効率火力発電所プラントの輸出、中小規模事業者の資金繰り支援、そして低金利の有利子奨学金に活用されていきます。

■4本柱の具体策
②のインフラ整備としてはこれらに加え、今回は訪日外国人観光客受け入れのためのインフラ整備、農林水産業における農産物輸出1兆円に向けたインフラ整備、物流ネットワーク、コンテナ港湾や羽田空港の機能強化などの成長へのインフラ投資などをリストアップしました。
③のブリグジット対策では、中小企業の資金繰り・経営力強化・生産性向上支援、また、地方でがんばる人や企業の後押しなどがあります。
特に今年は海外において様々な事件が立て続けに起きていますので、それらによる景気の下振れリスクや金融リスクにもできるだけ影響を受けないように対策を講じておきたいのです。
④の震災からの復興・防災強化も、引き続き最優先事項です。熊本での震災も発生し、新たに様々な要望が出てきているところでもあります。
また、今回、熊本地震では震災時に指揮を取るべき市役所などが使えなくなり、初動において、より事態が混乱するということもありました。市庁舎の建て替えなどはどうしても後回しになりがちですが、今回の状況などを見ると、住民のために非常時のコントロールセンターとなるべきところは適切な整備をすることが必要だと思います。
そして昨年打ち上げた「一億総活躍社会の実現」を加速します。低所得者に対する簡素な給付措置を延長したり、老齢基礎年金の受給資格期間を25年から10年に短縮しますが、これらも総理自らの政治的な決断で実現します。
保育・介護の充実を引き続き推し進めると主に、奨学金の制度も充実させていくことになります。
また、アベノミクスの直接の成果として雇用状況がよく、雇用保険特会が一息ついている状態なので、このお金を活用する施策として保険料や国庫負担の一部引き下げや育児休業期間の延長など、新たに組み込んでいます。

■経済成長を支える「安全安心」への備え
また、直接経済の下支えと結びつくものではないかも知れませんが、安全安心の観点から、テロ対策や警察力の強化は今回のリストに入れています。
まずはマンパワーを確保した上で、必要な設備を整えないと対応できないものです。昨今の国際情勢を鑑み、引き続き充実させてくことが必要だと思います。

■4本柱が生み出した5本目の柱
そして、この対策を検討取りまとめしていくなかで、5番目の柱、成長と分配の好循環を強化するための構造改革等の推進が新たに立ちました。
働き方改革を進めると同時に、最低賃金を24円、率としては3%引き上げ、消費の喚起と生活水準の底上げを目指していきます。
この柱は、同時に今まで毎年更新し続けている日本再興戦略と名付けられた成長戦略に盛り込まれている制度改革及び規制改革を加速化させることでもあります。財政再建のために行うべき80を超える検討項目が改革工程表の中に示されていますので、これらも着実に実行していくことで一歩一歩進んでいくものと思います。
この内容が確定されたうえで、これらを必要な規模で実行していくために、必要な金額とそのための財源を精査して今後補正予算を組んでいくことになります。

私が副大臣として行った最後の大きな仕事としても、私にとって大変思いのある経済対策になったかと思います。