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熊本震災の現場が教えてくれたこと ~「いざ」の時に支えるのは誰か?~

2016年07月11日

先月、熊本に地震の状況を視察してきました。
4/14の前震を熊本県人吉市で私自身が体感して以降、財務副大臣としての職務で東京に拘束されていたため、約2ヶ月ぶりでした。
行政のルートで視察に入ると現地に迷惑がかかるので、行政関係は私自身の個人的な知人に声をかけ、また、被災地は知人の一人が事務局長をしている支援団体の方々と一緒に益城町と南阿蘇村を回りました。
南阿蘇村では地元出身の25年来の知人で写真家の方に案内をいただいたのですが、時間の関係で避難所に回れなかったのは残念でした。30代の数年間を阿蘇郡で過ごしていた私は、目の前の変わりように唖然としました。

■政府の動き
政府は14日の前震後すぐに先遣隊を派遣。
15日には現地対策本部を設置。国県合同会議を立ち上げました。
16日の本震直後は、人命救助に注力するとともに、ライフラインの復旧に着手しました。また、現地からの要請を待つことなく、プッシュ型で水や食料など80万食分とも言われる量を現地に送り込みました。
通行できる道が明らかになるまで時間がかかるなど、東日本大震災と同様の課題は残りましたが、今までにない迅速な対応だったと言われました。
また、避難所関係では、仮設トイレが求められました。水洗洋式トイレの需要が多く、追加投入しています。
そして、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、扇風機の配備を進めました。これらの緊急支援には、今年度の予備費のうち23億円を充てました。
そして今後の復旧、復興に対しては、7,780億円の補正予算で手当てをします。
被災者への生活再建支援金はもちろんのこと、仮設住宅の手当て、道路などのインフラの復旧費、産業の復興、また、熊本城をはじめとする文化財の災害復旧などもこの補正予算でまかなっていきます。
本来予算は、必要額の積み上げがすべて終わり、全体で必要な金額が出されてから組まれるのが普通ですが、今回はスピードを重視して、まずは熊本地震対応のための予備費として計上しています。予算成立後、必要な項目に時を移すことなく予算を回せるようにです。
6/28の閣議決定が3回目であり、総計1,823億円の使用が決定されています。

■現場で見えてきたこと
既に補正予算で検討していることに加え、現場で話を聞いて分かったこともあります。
一つは、市役所、町役場などの改修・建て直しに対して、どのような支援、特に財政面での支援をしていくかということ。
通常、地方自治体の庁舎は自己負担が原則です。災害で建て直さなければならないときは、復旧が基本ですので、元の場所に元の大きさで建てれば約8割以上(状況によって異なりますが)は国からのお金が入る制度があります。
今回私がお話を聞いた宇土市は、市役所の4階部分がつぶれかけている映像が報道番組などで流されました。50年を超える古い建物だったため、床面積も小さく、市庁舎の周りに市の事務所を何ヶ所も借りている状態です。
当然、面積を広げて必要な部屋をまかなえる広さを再建するための積立も行っていましたが、今回の揺れで強制的に建て替えが必要になりました。
しかし、現行制度では、床面積を広くした分は全額市の負担ということになります。宇土市はそれらの数値を入れて財政の推測値を算出していたので、早速財務省の担当者にも見ていただき、その大変さを共有いただきました。
直接的には、市・県・総務省との交渉になりますが、庁舎建て替えは宇土市のみならず、八代、人吉市他でも求められているとのことでもあり、側面支援を続けていきたいと思います。
もう一つは、二次災害ともいうべき、その後の雨による災害への対応です。
熊本地震に対する支援策、特に農林水産業に対するものは、手厚いものだと感謝いただきました。
しかし、加えて、九州を襲っている強烈な雨による土砂崩れなどの被害の方が、実は規模にすると直接地震によるものの10倍以上の被害となっているそうです。大きな揺れで地盤が緩んでいるところに来て、大雨です。私自身も移動中に田んぼののり(法)が無数に崩れている様をこの目で見てきました。
これらの災害対策も、熊本地震の対策の一環として同じ制度を適用してほしいというものでした。
これも財務省の主計局の担当者から農水省へ連絡を入れてもらい、検討してもらっています。

■2つの避難所で見た「地域」の底力
最後に、避難所で見てきたことをお伝えします。
益城町で2つの避難所に伺いました。
一つは大型の施設に多くの人がいて、行政が仕切っているA避難所。もう一つは、小学校の体育館で地元の地域づくりのリーダーが中心となって運営しているB避難所。
この2つは本当に対照的でした。
まずAでは、避難所に何人いるのか全く把握されていませんでした。Bでは、何人寝泊まりしているのかだけではなく、外出しているのか、そこにいるのかまで把握していました。
また、Aで避難している方の不満は「やることがない」「毎食コンビニ弁当では体調がおかしくなる」「炊き出しにも来てほしい」「雰囲気がすさんできて、ちょっとしたことでいさかいが起きやすい」「仮設の抽選に当たったのに、まだ避難所で生活している人がいる」。
そして、今、一番の希望は?と聞くと、「炊き立ての白いご飯が食べたい」というものでした。
そこから車で5分のBに行くと、Aとは大違い。
その日は久留米の団体が炊き出しに来ていましたが、3食炊きたてのご飯を食べていますし、栄養のバランスを考えて自炊も出来るようになっています。
また、そこで生活している人には全て役割が振られていました。昼食の途中で入ってきた人が、「今日は遅くなって、仕事が出来なくてごめん!」とまず謝っていました。つまり、自分が役割を担っていることを自覚しているということです。
それに避難所を退出していった人の空いたスペースをうまく集めて談話コーナーや、みんなでご飯を食べることのできる食堂スペースを作っていました。
なぜこんなに違うのでしょうか。
それは、A避難所が外部の人が取りまとめているのに対し、B避難所は被災者が自ら運営しているという点ではないでしょうか。
実は、熊本市で炊き出しの食中毒が起きてから、行政も炊き出しに対して及び腰になっています。そのため、炊き出しをやろうとする場合、Bなら自分たちのことなので相談してリーダーが判断すればいいのに対し、Aは外部の人が判断するため、抑制せざるを得ません。
Aに派遣されて運営を取り仕切っていたボランティアさんが「私たちは1週間で戻り、来週は次のメンバーがやってきます。ですから、私達は責任が取れないので、マニュアルと行政の指示から外れることは一切出来ないのです」と言っていました。
結果、Aはコンビニ弁当が中心となり、それでも「食事は充足」と報告されます。毎日コンビニ弁当を食べることを想像してみてください。
松下政経塾での熊本研修以来25年にわたり、私の主要なテーマの一つは「地域づくり」でしたが、改めてその重要性を確認する結果となりました。

熊本被災地

熊本被災地

↓避難所

熊本避難所