• ホーム
  • » 今月の主張 » 「言いだしっぺ」日本の取り組み ~パナマ文書とOECD租税委員会~

「言いだしっぺ」日本の取り組み ~パナマ文書とOECD租税委員会~

2016年05月01日

パナマ文書が世間を騒がせています。首相や大臣など海外では辞任をした政治家もいると伝えられています。
昨年、パナマの法律事務所から1970年代からの取引のデータが大量に流出しました。桁外れに多く、なんとその件数は1150万件とも言われており、その中身の解読を専門家がチームを作って行っています。

■何がいけなかったのか?
パナマ文書に名が出てくる人や会社が批判されている理由は、本来納めるべき税金をパナマ、ベリーズ、ドミニカなどをはじめとする「タックスヘブン」の税制を取っている国々の制度を用いて、充分に納めていないからです。
利用している企業などから見れば、合法的な節税対策かもしれませんが、たとえ法を外れていない場合でも、法の趣旨に反することは言うまでもありません。

■日本がリードするBEPSプロジェクト
実はこの分野の対策は、日本が旗振り役としてプロジェクトを立ち上げています。
BEPSプロジェクトと言い、「税源浸食と利益移転」の英語の頭文字をとったものです。
実際の取引がどんどん進化していくなか、各国の税制や国際課税ルールが追い付いていない現状があります。この間隙を突いて、課税所得を人為的に操作し、課税逃れを行うことがないよう、国際課税ルール全体を見直して、実態に即したものにしていこうというプロジェクトです。
平成24年6月に財務省の浅川財務官が議長であるOECD租税委員会が立ち上げ、昨年10月に「最終報告書」をG20財務大臣会合に報告し、11月にはG20サミットにも報告しました。
このプロジェクトの3本柱は
1.グローバル企業は税金を払うべきところで支払うべきとの観点から、国際課税原則を再構築する(実質性)
2.各国政府、グローバル企業の活動に関する透明性の向上(透明性)
3.企業の不確実性の排除(予見可能性)
となっています。

■総合監視が求められる国際課税ルール
ワシントンで4月に行われたG20の財務大臣・中央銀行総裁会合でも主要なテーマの一つでした。
そこでは、BEPSに関わる各国間の自動的に情報交換をより多くの国が着実に実施することの重要性を認識し、各国の相互監視を強化し、租税やマネーロンダリングに関する透明性国際基準を実施しない国への圧力を高めることに合意しています。
同時に、匿名性を租税回避やマネーロンダリング等に悪用されないように、資産の実質的な所有者を明らかにする国際協調を推進することに合意しています。とにかく各国ともに抜け道をふさいでいく作業を協調して行っていかなければ、効果が半減します。
例えば、海外のウェブサイトで購入した場合、今まで輸入取引とみなされていなかったため、消費税がかけられていないものがありました。昨年、国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直しの方向で消費税法を改正し、この問題に対処しました。

そのほか、海外の子会社が現地で法人税を納めている場合、日本の本社に配当益金として送金したとき、日本でも課税をすると二重課税になるので、これもそういう場合の不算入制度を法改正で整備したりしています。

■「言いだしっぺ」日本の役割
こういう国際的な課題は各国が協調しないと結果を望めませんが、その「言いだしっぺ」を日本が担い、実に4年前から汗をかいてきたわけです。
今回、図らずもパナマ文書なる情報が表に出てきて、これらの取り組みが改めて注目されていますが、もともと日本の主導で推進してきた課題で、日本が議長国を務める5月末のG7サミットにおいても、重要議題の一つとして既に挙げられています。
サミットの場においても、新たなる進展を求めて、各国との協調体制を強めていきたいと思います。