人口減少社会と「新・三本の矢」 ~安倍政権による大転換 ~

2016年03月01日

安倍政権が発足して丸3年が過ぎ4年目に入りました。
世界中に認知された「アベノミクス」も、三本の矢に続く第2弾である「新・三本の矢」のステージに入りました。
しかし、今年になって株式市場が乱高下したり、円高基調となるなど、不透明感が漂い始めました。2月は衆議院の予算委員会、財務金融委員会などで予算やその関連法案の質疑が行われましたが、その中で何度もこの点が質疑のテーマになりました。

■日本経済の現状
現在不透明感をもたらしている外的要因として、原油価格の下落、中国経済への不安感、アメリカの利上げなどが挙げられています。
安倍総理、麻生財務大臣などが答弁に立ち、「日本のファンダメンタルズはしっかりしている」、つまり、昨年、日本企業は過去を見ても最高収益を上げており、失業率においてもほぼ完全雇用となっている、金融機関が不良債権を抱えてにっちもさっちもいかないという状況もなく、倒産件数も平成24年から見ると27年は27.3%も減っており、日本経済そのものはまだ健全であると説明しています。
ちょうどこの原稿を書いている今、上海においてG20の財務大臣会合が行われており、中国の財務大臣から「中国にはまだ財政出動できる余力は十分ある」旨の発言などもあったとのことで、その成果に期待したいと思います。

■「新・三本の矢」とは
新・三本の矢は、昨年秋の内閣改造に合わせ発表されました。
新・第一の矢が「希望を生み出す強い経済」であり、その的が「GDP600兆円」です。
新・第二の矢は「夢をつむぐ子育て支援」で、的が「希望出生率1.8」です。
新・第三の矢が「安心につながる社会保障」であり、その的が「介護離職ゼロ」ということです。
「一億総活躍社会」や、それらの政策がよくわからないというご批判もいただいておりますが、政府の現時点での判断やそれを踏まえてこれからどのような政策を打ち、どのような成果を求めていくのか、そして最終的にどんな社会を目指すのかを総理大臣が国民にはっきり示すことは、大変大切なことだと思います。
どの政策がどこにどのようにつながっていくのか全体像を示すことにより、国民が協力する際にしやすくなるのではないでしょうか。
企業などもそのベクトルで行動を決定していくようになると思います。例えば、私は財務副大臣として財務金融委員会に出席しますが、そこで議論される財務・金融・経済対策などは、新・第一の矢のGDP600兆円実現に向けての施策となります。

■人口減少社会と向き合う政策
2月の終わりに平成27年国勢調査の速報集計結果が公表され、大正9年に調査を始めて以来初めて、人口が減ったとの報告がありました。
減少率は0.7%で、94万7000人の減少だそうです。すでに人口減少が始まっているとは言われていましたが、国政調査でも明らかになり、改めて衝撃を感じられると思います。
私は新・三本の矢は、この人口減少を正面に据えた対策だと説明させていただいています。
第二の矢は出生率アップを目標にしているので、まさしく直接的ですし、子育て支援によって子どもがいる女性も希望があれば働ける環境をつくっていきたいというメッセージが込められています。
第三の矢も、労働人口が減って来て働く人がいないということが原因となり、新たな仕事の創出につながらないという事態が広がることも想定されるなかで、介護を理由に仕事を辞めるということをなくしたいということです。まさに、人口減少社会という課題に正面から向き合っているということです。

■既存政策からの大転換
安倍政権に交代して以降、こうした政策の変化は感じていました。
例えば、私が国土交通大臣政務官を務めていた時、国交省のプロジェクトとして「国土のグランドデザイン2050」を策定しました。
この作業の中で、明らかに人口が減っている2050年の国土のあり方について青写真を描きました。人口減少をはっきり打ち出したわけです。
実は、それまでは少子化対策、つまりは人口を減らさない政策を打っているなかで、その成果が出ないことを前提とした人口減少を据えての議論はオープンにはできなかったのではないかと私は思っています。
その大転換です。
国土のグランドデザインでは、1kmごとのメッシュ状に国土を分けて分析を行い、都市部を除くほとんどすべてで人口減少しているということを打ち出しました。また偶然同じタイミングで、消滅自治体が出てくるという衝撃的な『増田レポート』も発表されました。
国土交通省としても、「コンパクトシティ」「小さな拠点」「コンパクト&ネットワーク」といった言葉を使い、今まで広がる一方であった街づくりに「サイズを小さくしていく観点」を導入し始めました。
これらは現状が差し迫り行われたものとは言え、行政としては勇気が必要で、大転換だったと私は思っています。
人の数は、確かに国の力に直結すると思います。日本の国力を保持していくためにも、政府は新・三本の矢で好循環を確かなものとして、2065年にも人口一億人を維持したいとしています。
安倍総理は、今年の衆議院の委員会で「労働力としての活用は検討しても、移民政策はとらない」と明言しています。
財政・金融・経済・社会保障・地方創生など、すべての政策の相乗効果を狙い、将来の日本の活力を生み出していきたいと思います。