観光立国日本の新たな目標~経済成長戦略達成のために ~

2014年06月01日

■訪日外国人旅行者数の現状
昨年訪日外国人旅行者数1000万人の目標を達成した観光分野ですが、今年も今のところ順調に推移しており、1~4月までの数字は計410.6万人、昨年と比べて29.2%増となっています。
この4月には43年ぶりに日本から海外に行った人数を訪日外国人が抜くという状況になりました。
国別に見ますと、昨年落ち込んだ中国が戻ってきており、ビザ緩和を実施したタイ、マレーシアの伸び率が大きくなっています。
また、今年のビザ緩和の対象国として観光庁が働きかけを行っているフィリピン、ベトナムも率で言うとかなり高い数字になっています。また、昨年は一昨年と比べて外国人旅行者が24.0%増えましたが、彼らの旅行消費額は1兆4167億円と推計され、これは前年比30.6%増となっていて、日本の経済に好影響を与えていると考えられます。
例えば銀座の三越は、今年の4月、消費税の駆け込み需要の反動で売り上げが落ち込むのではと懸念していましたが、なんと外国人観光客による消費のおかげで売り上げが落ちなかったそうです。
このような状況を見込み、すでに昨年発表された成長戦略では、観光立国を推進し、2020年までに2000万人の訪日外国人旅行者を目指すとされ、その目標達成に向けより一層アクセルを踏み込もうとしています。

■2000万人達成のために
そのためにいくつかの施策に力を入れています。
一つは専門家を入れての戦略を作ることです。一口に2000万人の外国人旅行者と言いますが、どの国から何人を見込み、それを実現するためにどのような売り込みを行っていくのか、予算と人員を見据えて現実的な計画を作り、改めてPDCAサイクルをしっかり回そうとしています。
すべての国に対してアプローチできれば理想的ですが、それが現実的ではない以上、思い切って地域も絞り、一番効果的な方法でプロモーションしていかねばなりません。
そのために、日本政府観光局(JNTO)の役割を来年度より「監督」から「事業の実施主体」へと変更し、現地の会社の意向や状況に合わせた迅速な意思決定と効果的な事業の実施を可能にしていきます。
また、日本直行便の拡大を契機としたエアラインとの連携、例えば昨年11月、ジャカルタ-関西空港にガルーダ・インドネシア航空が新規就航しましたが、これに合わせ日本観光に関しての情報を発信しています。

■個人客誘致のための戦術
そしてこれからの観光戦略で重要なターゲットは個人客です。ASEAN諸国をはじめ、団体ツアーから個人へと需要が動いています。その個人客への対応として、すでにその国の人気のある芸能人を起用した旅番組の作成・放映や、多言語対応の改善・強化、無料Wi-Fi環境の整備などを進めてきています。
実際に無料Wi-Fiスポットは平成24年3月末の約3000か所から、平成26年2月末には約74000か所と、約25倍に増加しました。また、京浜急行電鉄では平成26年3月より全駅・全車両で展開を始め、電車の走行中でも利用可能になっています。
日本観光の魅力の一つとして、ショッピングがあります。買い物をより一層、訪日の動機としてもらうために、免税の対象品に消耗品、つまり飲料、食品、化粧品などの「使えばなくなる商品」も加え、この10月からはすべての品目が免税対象になります。
地方の名産品は食品やお酒などが多く、これらが対象となるので、それぞれの地域で免税を「売り」にする取り組みを展開してもらうことができます。

■周辺地域・業界の活性化に向け
これからの大きな課題は、首都圏~関西圏までが中心的な観光コースとなっている現状に加え、地域や地方への魅力を発見し、新たなルートを開拓していくことです。
ルートとして発信して、旅行者には魅力が伝わる場合が多く、市町村や県の枠を超えた広域での取り組みができるよう、各地域の運輸局を中心に動き始めています。
私自身、新橋の駅などでも外国人旅行者の姿を見ることが大変多くなりました。訪日外国人旅行者2000万人時代を迎えるとなると、かなり町の風景が変わってくると思われます。
これにより観光業界だけ仕事が増えるのではなく、あらゆる分野でビジネスチャンスが広がると考えられます。
治安の面に関してのモニタリングは続けながら、ビジネス活性化のひとつの要因として、旅行者増が働くよう努力していきたいと思います。