有事に備える~世界の中の日本の「集団的自衛権」議論 ~

2014年05月01日

■ASEAN諸国が見る日本
今年3月、外務省の委託を受けて香港の調査会社がインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、ミャンマーの18歳以上の国民を対象に行った世論調査の結果が発表されています。
「最も信頼できる国は?」との問いでは、日本はトップで33%、次がアメリカの16%、中国は5%、韓国は2%でした。
また、「ASEAN諸国にとって重要なパートナーは?」の問いにも、日本はトップで65%、2位が中国の48%、3位はアメリカ47%となっています。
中国や韓国から「国際社会から孤立する」と常に批判されている安倍政権の積極的平和主義ですが、「アジア地域の平和維持に役立つ」と肯定的な評価がASEANでは9割ほどに上がりました。孤立どころか評価をされ、同時に日本に期待しているという現状が浮かび上がってきます。

■議論の前提条件
期待されているということは、それに応えられればより評価と期待が増しますが、それに応えられないと大きく信用を損います。
PKOなどで自衛隊が海外に出て平和維持活動を行うことも、この期待に応えることになります。
こうした状況は、憲法ができた時の日本が置かれていたものとは全く違います。
もう一つ違うのは、技術の進歩により国境を越える脅威が増大しているという点です。
世界のどの地域で発生する事柄であっても、日本の平和と安全に影響を及ぼしえる状況になっています。
なので、どの国も自国一国のみで自らの平和と安全を維持できなくなっています。同盟国との連携や、国連の集団安全保障措置などの重要性が増大しています。
この状況の変化を集団的自衛権の議論をする時にはしっかり押さえなければいけないと思います。

■自衛権発動の要件
国連憲章第51条において、「個別的または集団的自衛の固有の権利を害するものではない」という表現で国連加盟国の自衛権は認められています。
日本国憲法にはどこにも自衛権の規定はありません。
しかし、主権国家として「座して死を待つ」しかないなんてことはない、という自然権的な考え方で必要最小限の自衛権は持ち得るというのが法理となっています。
その上で、自衛権の発動が認められる要件が3つあります。
①我が国に対する急迫不正の侵害があること
②この場合に、これを排除するために他に適当な手段がないこと
③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
また、地理的範囲に関しては、「領土領空領海内に限られるものではないが、武力行使の目的を持って他国に派遣することは一般に必要最小限度を超えるものであり許されない」となっています。実は必要最小限の実力行使とされている点が大事です。ここで「集団的自衛権は許されない」とはしていないわけで、あくまで個別か集団的かを問わず、必要最小限にすることとされている点です。

■なぜ今、自衛権の議論か
当初は個別的自衛権の範疇の行使が必要最小限度とされてよかったのかもしれません。
しかし、冒頭に触れたように、日本の立場・役割が変わってきている上に、技術の進歩によって私たちを取り巻く環境も大きく変化してきています。
海外にも自衛隊が国際貢献で出て行っている今、私はこの必要最小限を具体的に掘り下げると、現在は集団的自衛権と分類され得るようなものも入ってこざるを得ないのではないかと考えています。
必要最小限とは何かということを詰めていき、しっかり類型に分けた整理を国民に分かりやすく説明をした上で、最小限の、しかし必要な自衛権は行使できるようにすべきではないかと私は思います。
先の東日本大震災で「想定外」という言葉が使われました。もちろん、人間には限界がありますから、「想定外」をゼロにするのは不可能です。
しかし、ゼロにすべく努力をすることは求められ、それは有事に関しても当然言えるわけです。「有事は起きてほしくないから検討もしない」というのは責任ある政党のあり方ではないと私は思います。
憲法を改正する中で国民的議論とし、憲法改正によって集団的自衛権を行使すべきだ、というのが正論かもしれませんが、現実はその「時」を待ってくれない場合もあります。
私たちは、だからこそ今回、最高裁判所の判決の範囲内で検討することによって、「国民の生命と財産を守る」という義務を果たそうとしています。
是非とも今後の議論も注目していただきたいと思います。

 

 

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