被災地の課題解決に向けて~奥尻町と海士町にみるヒント~

2013年10月01日

国土交通大臣政務官、復興大臣政務官に就任して8ヶ月が経とうとしています。特に復興に関しては、担当参事官のツイッター事件や復興予算の流用問題など、批判をいただくとともに、各工事が本格化するなかでの入札不調、建設資材の不足や価格の高騰などの課題が指摘されています。
しかし、私はこれらに加え、人口、特に若い世代の流出がそれ以上の課題ではないかと、以前から主張してきました。
お金を投入して、インフラや建物を新しく造ったとしても、そこに住む人がいなければ街としては成り立ちません。行政の立場として、公共工事部門に関して各所に話を伺いながら、私個人としては上記の課題が常に頭にありました。

■課題解決の糸口
私は今、2つの地域の実例が参考になろうかと考えています。
一つは北海道の奥尻町です。
近いうちに一度足を運び、実際に確認したいと思っていますが、『報道ステーション』での特集(8月4日放送)が問題点をわかりやすく指摘していました。
ここは平成5年に起きた北海道南西沖地震で大きな被害を受けました。その後の対策として高い防潮堤を築き、街をその内側に造り直しました。
しかし、今、過疎と高齢化に悩むと共に、産業も衰退し、展望が持てなくなっています。特に養殖産業が衰退したことが大きいと指摘されています。
番組では地表近くを流れる地下水が防潮堤によりせき止められたために、海に必要な栄養分が補給されなくなったことが原因と指摘していました。海藻が生えなくなり、海底の石が真っ白になる「磯焼け」という状態になっているのです。
同じことが三陸沿岸に起きたら、観光客を引き寄せている海の見える風景と同時に、豊かな海そのものをなくす、つまりは観光業と養殖をはじめとする漁業を失うことになりかねない、ということです。
人々が生活していくうえでの安全と環境への負荷を最小限にし、産業を残していく工夫を凝らすべきところがあるのではないか、と考えるようになりました。
もう一つの地域は、島根県の海士町(あまちょう)です。
ここへは、先日離島振興のために視察してきたばかりです。
2,350人余りの人口の少ない離島の街ですが、驚くことに1割以上がⅠターン(アイターン)、つまり島以外の出身者です。しかも、30代を中心に若い世代が目立ちます。
東北の被災地でも人口減は課題です。内陸部などに避難している住民に戻ってくるよう呼びかけると同時に、避難先が住み心地がいいと戻って来なくなるので、手厚い保護は遠慮してほしいというような奇妙な話も噂として聞いたりします。
私は今後の被災地が活力を取り戻していく一つのカギは、そこを生まれ故郷とする人だけでなく、それ以外の人もターゲットとして人口増を考えていくことだろうと考えています。
とすれば、最近「交流人口」と呼ばれる、濃い交流を求める人もそこに住民として、住民票を移さなくても迎えてあげられる取り組みが求められると思います。
海士町において参考になるのは、月額15万円を3年間支給するなどの施策で、全力をあげてⅠターン獲得に努力しているほか、海士町にある島前高校に通う子どもたちに夢を語り合い、自分の目標を定めていく「夢ゼミ」という教育プログラムを行っていることです。今の自分を見つめることにつながり、自分自身は海士町で生活しているので、深く考えれば考えるほど海士町という地域がその子の中に大きくなっていきます。
企業を誘致してくれば活力が出るというシナリオが盛んに言われますが、たとえ企業が進出してきて仕事口が増えたとしても、30代を中心とした世代にとって魅力のある場所になるかと言ったら、私は疑問を感じます。その地にいるからこそ、いろいろな刺激があり、発展していく可能性があり、自分が自分自身でいられる、そういう希望を感じられることが必要だと思います。
被災地は正直ひどい状況と言わざるを得ないところが多々あります。しかし、だからこそ、それをチャンスだと考える人もいますし、だからこそ自分の力を思う存分発揮できると思って、被災地に入り込む人もいます。このエネルギーをいかに活かしていくか、です。
そして最終的には、それらの人と人をつないだりアイデアを具体化していく、物事をまとめて運用していくことができる人材が求められることになります。その部分を国が援助することは、制度として機能させるには難しい面がありますが、何とかして状態を改善させるフォローをしていければと思っています。