平成26年度予算策定に向けて~国土交通省の概算要求の意味~

2013年09月01日

毎年のことですが、8月末日は次年度の予算の大きな枠組みでもある「概算要求」の締切りでした。今年も各役所において、その作業が行われました。
今年は昨年の要求額の9割というシーリングがかかりました。つまり1割カットです。
そしてわかりやすくし、メリハリをつけるという意味からも、「新しい日本のための優先課題推進枠」として、その9割の額の3割までを枠として財務当局は認めました。つまり昨年度の2.7割です。
そうした中での今年の概算要求となり、全体で1.17倍までの額を要求できることになりました。
言うまでもなくここから年末に実際の予算が決まるまでに、交渉しながら「本当に必要なもの」という中身を絞り込んでいくわけです。

国土交通省でも概算要求を決定しました。

公共事業関係費 5兆1,986億円(対前年度1.17倍)
非公共事業関係費 6,605億円(対前年度1.13倍)
合計 5兆8,591億円(対前年度1.16倍)

というものです。この中で「推進枠」の額は1兆2,419億円となっています。

■特徴1)防災・減災対策の充実
今年の中身の特徴の一つはムダの排除を意識しながらも、必要な防災・減災対策や老朽化対策はしっかりやるということです。
防災が専門の河田惠昭先生は、現状のままでは南海トラフ地震が起きると、最悪2カ月にわたり電力供給が大幅に不足する事態が想定でき、また首都直下型地震が朝の通勤時間帯に起これば、300万人の通勤者が足止めを食らい、交通機関は一切麻痺して大混乱になってしまうと指摘しています。
特に重要なのは道路だということです。物流が止まれば、水、食料などが必要としている人に届かず、救急車も期待できない状況になってしまいます。
これは何とか対応していかねばなりません。
国際競争力を強化し、経済が成長していても、2カ月の電力不足では日本経済は地に墜ちてしまいます。経済や生活の安全・安心の確保を図るため、「推進枠」も活用した結果、右肩下がりの公共事業予算に歯止めがかかることとなりました。

■特徴2)既存インフラの効率的維持管理
もう一つは「メインテナンス元年」とも称され始めている、既存のインフラの維持管理または更新作業を有機的にまとめて、現在の技術や知恵を集約していこうという点です。

■特徴3)日本の領海の堅守
そして海上保安体制の強化です。
尖閣諸島周辺海域に中国の公船が頻繁に出没し、徘徊し、第11管区にはかなり大きな負担になっています。
今は臨時対応により何とかしのいでいるところですが、専従の体制を確立しないと、長期にわたっての対応は難しい状況です。
現在は平成27年度末を目標に大型巡視船14隻相当の専従体制を確立する計画を持っています。今年からスタートしていますが1000トン型巡視船計10隻を新規に建造していきます。
要員も必要です。今年度は119人を純増したわけですが、合理化等を行い、400人を増員した状況にしています。
来年度も純増528人、定員合理化と合わせ745人を要求しました。
先日舞鶴にある海上保安学校を視察し、元気に訓練に励む保安官の卵たちを見てきました。現場で必要な知識や経験を体で覚えるために、中身の濃いプログラムを行っています。
現在415名が在校していますが、当初の予定より増えているために施設も満杯です。勉強部屋を寝室に変えていました。来年のこの時期にはなんと620人からの生徒がいる予定とのこと。
寮を始めとする施設整備費も今回の概算要求に入ってきています。

政策は考えただけでは形になりません。当たり前のことですが、実際に形にするためには予算の裏付けが必要です。
8月末に概算要求をまとめるということは、裏を返せば、この時期までに来年度の政策としての取り扱いを受けていなければ予算に乗らないということも意味します。このような点も含めて、今回の編成作業においても色々と勉強になりました。