復興政務官として直面している、現場の課題 ①

2013年04月01日

この春から、遅れていた住宅用の土地の段取りも一つひとつ進み、起工式が行われ着工されるところが増えてきます。
それらすべての完成まではまだ時間がかかり、2年後で公営の賃貸形式の団地の場合約9割、戸建の個人の住宅の場合7割強と想定されていますが、形に見えてくれば今までとは違った空気になることだろうと期待しています。
しかし、一方で現地に行って話を聞くなかで一筋縄ではいかないなと感じる課題がいくつかあります。その一つが、市町村が作った街の基本計画と住民との思いがズレ始めていることです。

■自治体と住民のズレ
各市町村の復興計画は、震災後数カ月で作り上げたものが多いのですが、その当時はそれぞれの地区の被災者は、自らの生活を回していくのに精いっぱいで街づくりや将来のことにまで気が回らない状態でした。
しかしここに至って、それぞれの地域でも住民集会などを開いて住宅の見通しがやっと立ち、さあ、これから自分の地区の将来を、と思って改めて街の計画を見ると、その地区の方々の思いや考えとはかけ離れたものになってしまっているのです。
その地区に今後とも住み続けようという方々ですから、ここで不本意な形で折れてしまいたくないという気持ちは大変強いです。
しかし一方で、行政は復興を急げという掛け声と決意の元に、当時は当時なりに参加者や意見は少なかったとはいえ、手続きを踏んで、作り上げてきた計画です。また、一部はこの計画に沿って動いてしまっている部分もあります。
復興の加速化を問われているなかで、今さら見直しなどを行っていては、そこでまた半年一年動かなくなってしまう、という懸念があります。
同時に、そのための仕事量を考えると、今現在でも飽和状態となっているのですから、そんな余裕があるはずがないと考えざるを得ないところもあります。特に、防潮堤建設と商店街建設に多いと思われます。

■『きらり商店街』が抱える課題
商店街の具体例には、大槌町の『福幸きらり商店街』の商店会が提出している意見書があります。
町の計画では、復興に合わせて役場と駅の間の街の中心部だった地域(御社地案と呼ばれています)に商店街を作ることになっています。しかし、現在のきらり商店会の皆さんは、これに対して現在の仮設店舗がある地域で商売をしたいと訴えています。
その理由の一つは、人口の問題です。
町全体の人口が減っているなかで、特にこの御社地のあたりは減少率が激しいと予想されています。また、図書館などの施設ができる予定はありますが、昼間人口増加にはつながらないと言われる施設しかありません。逆に、今の仮設店舗がある辺りは、公営住宅や防災集団移転の対象となる地区があり、人口が増える予想となっています。
また、商圏の問題として、大型ショッピングセンターからの距離があります。
今のところならばそこそこ離れていますが、御社地では近すぎて客をショッピングセンターにとられると想定しています。
そして、来店される買い物客の利便性の問題です。
車での来店が一番多いと想定されますが、御社地には現在の商店街のように十分な駐車場をとるスペースがありません。
また、道路の問題を考えても、今の場所ならば建設予定の復興道路のインターからすぐです。他地域から来られる客を想定しても便はいいはずです。
最後に時期の問題を指摘しています。
御社地案では、約2メートル盛り土してその上に街を作ります。商店街部分を先に作って商売を始めてもらい、周辺を後から作ると言われていますが、その「先に」と言われる時期ですら平成28年ごろ、しかも商売を始めた商店街の前を10トンダンプが往来し、砂塵が舞う中でまともな商売ができるのか、と疑問を呈しています。
それが現在の場所であれば盛り土の必要性もなく、駐車場部分はアスファルト敷きになっていて完成のスピードも速く、その後も他の工事に煩わされることなく商売ができるということです。
一方で、行政側としてみればこの絵でいろいろ進めてきています。盛り土の計画も商店街がなくなれば根底から変わってきてしまいます。
これらのズレが出てきてしまうのは、町内の人口分布、ショッピングセンターの出店、道路などの具体的な復興計画、これらの現実の動きが見えてきたからであり、予想で立てた計画とピタリと合わないのは仕方ないことです。

ヒヤリングを通して私は、手間でも勇気を持ってもう一度住民の皆さんの意見を聞いて、町の計画を見直すべきだと思うようになりました。
確かに復興の加速を求められている時期です。その批判は受けるかもしれません。現場の方々のご苦労は当然増えてしまいます。
しかし、ここで手を抜いて新しいけれど魅力がなく、予算をつぎ込んで立派なインフラがある過疎高齢化の限界集落を作っては意味がないのです。そういう意味でも、住宅の計画がだいぶ見えてきた今は、それぞれの自治体において一つの大きな分岐点に立っているのではないかと感じています。