2011年2月)予算賛成のためには

2011年02月01日

~与党が国民にすべきこと~
現政権は、日本史上最大規模、92兆4116億円の平成23年度予算案をつくりました。

与党が言っている「つくったんだから、悪かろうが認めろ」というのは暴論だと私は思います。これでは、行政に対しての、国会のチェック機能をゼロにするのと同じことです。国民生活に支障をきたさないために、まず自民党は野党としてきっちり対案と賛成のための条件を出さなくてはいけません。

与党も、今回の菅総理の代表質問の答弁のように、野党に対して要求やお願いだけして、野党の要求にはゼロ回答という態度ではいけません。この総理の対応の裏側には、”予算案を成立させないと野党も国民からの非難を一身に浴びるぞ”と言うメッセージがあるわけです。

こういうケンカごしではなしに、きちんと話し合いをするということが、与野党に求められています。
私は、予算案に賛成するためには、最低でも以下の条件をクリアすることが必要だと考えます。

1)民主党内の内紛をやめること

民主党内を二分している内紛のために、党内で政策議論がなされていません。新聞、TVの報道を見ても、与党内で政策が議論されたという話はほとんど聞きません。この権力闘争の割りを食っているのは国民です。民主党内に新しくできた族議員同士の意見集約ができません。

党として一つの方向が打ち出せない。国会の会期があとわずかとなった時、通常なら優先順位をつけて、「この法案は今国会で、代わりにこの法案は次の国会で」と与党は野党と交渉します。しかし、今の民主党はこの優先順位をつけられません。内部対立でそれどころではないからです。

先の臨時国会において法案の成立率が過去10年間で最低の37%という報道があり、その責任を民主党幹部は自民党になすりつけていましたが、とんでもありません。民主党が方針を野党に打診して来ないのがいけないのです。衆議院議員連盟理事会の現場では、自民党からこの法案とこの法案は通さなくては国民が困るのではないかと提案しているのが現状で、こんな優しい野党は今まで聞いたことがありません。

2)「これだけのお金を使って大丈夫だ」と説明すること

今までにない規模でお金を使うのですから、国民が”大丈夫なの?”と心配するのは当たり前です。家庭でも会社でも、見通しを立てて計画するはずです。
しかし今回政府は、一切この「大丈夫だ」という説明をしていません。

税収が41兆円程度のところを、それ以上の44兆円の赤字国債を出す予算案です。基礎的収支(プライマリーバランス)が22兆7000億円以上もの赤字の予算です。心配して当然です。
大丈夫だという説明責任を果たし、今後の中長期の意味のある計画・工程表を出せというのが、我々自民党が国会に提出している「財政健全化責任法案」です。自民党政権の時には、経済財政諮問会議で進捗状況まで計画と照らし合わせて国民に発表していました。本来、当たり前の話ですが、民主党がそれをしないので出さざるをえなくなった法案です。
これを成立させ、しっかりと計画を出し、その説明をすることが求められるでしょう。

3)「バラマキや選挙対策のためのマニフェスト」の政策を撤回すること

ムダ遣いが入っている予算をそのまま通してしまっては、国会の意味がなくなります。あくまで国民の歓心を買うためのマニフェストは撤回すべきです。

例えば、「子ども手当て法案」です。博報堂が昨年末に行った調査では、子どものために使った人は13.3%。使っていない、貯金した、が68%でした。控除廃止により、19,000円増税される家庭があるので、3才未満は20,000円支給という内容では、子どものための余裕があるはずがありません。

「高速道路無料化」のための社会化実験も、馬渕前国土交通大臣がこの夏にも撤回することを言明したにもかかわらず予算が計上されています。おかしいのではないでしょうか?

また、農家の戸別補償制度などは、TPP対策で考えている農業政策と矛盾している始末。それぞれの効果を相殺するのではムダ遣い以外の何ものでもありません。

4)先のマニフェストを変更せざるを得ない説明を行い、新マニフェストを作り、国民に信を問うこと

今の政府の最も顕著な特徴は「説明をしないこと」です。ほとんど説明なしにマニフェストを変えています。

暫定税率撤廃を撤回した時、「こう考えたけれども、現実はこう違ったので撤回させてもらいます」と説明があったのでしょうか?全額国費が約束だった「子ども手当て」に地方負担を求めると変更があった時、説明がなされたでしょうか?全くないから神奈川県の横浜・川崎両市をはじめ、予算を国費で計上するという異常事態の自治体が続々と増えているではありませんか。

普天間の移設も、海外、最低でも県外移設を主張した根拠について説明がありましたか?その根拠と現実がどう違っていたか、という説明は全くありません。
八ツ場ダム中止の撤回もしかり。企業・団体からの政治献金を受け取らない約束も、撤回したけれども説明なし。国家公務員の人件費2割1.1兆円の削減も、達成不可能ということにはなったけれど、なぜ「できる」と判断して主張したのか、全く説明なし。マニフェストの骨格が見えなくなるほど変質しているのでは、もうマニフェストとは言えません。

現在の状況に合わせてマニフェストを作り直し、新たに信を問うことが必要だと私は考えます。国民との契約を次から次へと何も言わずに勝手に変えていっている今のあり方は、国民に対して誠実だとは全く言えない、と思います。

政策に関してここまで国民には不誠実なのですから、せめてマニフェストを作り直し、国民に信を問い直すぐらいの誠実さは持つべきではないでしょうか?