2010年4月)こんな公務員制度改革法案でいいのですか?

2010年04月01日

鳩山内閣で編成した初めての予算が動き出しました。これから、通常国会は6月までいろいろな法案に関して審議をすることになります。
その中で、私がもっとも許せないのが、公務員制度改革の骨抜き法案です。

■がんばらなくても報われる制度

私たちがとにかく目指しているのは、普通の組織のようにがんばる人が報われる、そしてサボったり、悪さをすればペナルティが課されるという制度です。

今は、公務員の役職はある意味「身分」となっています。役職も給料も一度上がったら下がらないのですから、身分保障しているのと一緒です。この中では、やる気のある若手の人たちが駄目になっていってしまいます。これを変えようというのが、私たちの根本理念でした。
そのために、私たちは、幹部公務員でもヒラに落とされる可能性がある制度、当然それに応じて、給料も下がるという制度、そして何より、内閣が、つまり政治が主導権を握っていく制度を求めてきました。
それが今回、鳩山内閣で出されているものは、これらがことごとく不可能となる法案になります。

まず、私たちの案では、幹部公務員であっても降格してしまうという緊張感を持続させていますが、鳩山政権の案では、一度幹部公務員となったら絶対にそこから降格しない制度となっています。
幹部の役職の中では、上がったり下がったりがあるようですが、あくまで幹部職の中だけでの話です。これは完全な身分保障です。今までとほとんど意味合いは変わりません。

また、私たちは、公務員でも解雇できる制度にしなければおかしいと思っています。やりたい放題でも解雇されないのはおかしすぎます。
これには、反対にストライキなどをやる権利、労働協約締結権を認めたうえで、通常の会社と同じように解雇もできるようにすべきだろうと私たちは議論して来ました。
これも、今回はなし。

そして、給料に関しても私たちは減給が可能な制度にすべく議論を重ねてきていましたが、減給に関して制度変更はない、つまり検討しないということです。

■権限のない内閣人事局

それよりなにより、私たちの案では、内閣が基本的に人事や給料の権限を握ることを最低のラインとして求めてきました。
つまり、政治家が握る、政治主導です。これが、今回役人側に完全に残ることとなりました。
みなさんも覚えておられると思います。人事院の当時の谷総裁が麻生政権に反対して、総理主催の会議にわざと欠席などをして抵抗をしたことを。当時の甘利大臣がそれに正面からぶつかって、結局人事院と総務省が握っていた権限、これら人事と給料に関する権限を役人から奪い、内閣の下の内閣人事局に置くことにしたのでした。

それが、あけてびっくり、今回の鳩山内閣の法案ではすべて元の木阿弥と化していたのです。
権限のない内閣が、どれだけ官僚機構を掌握し、動かすことができるのか。私はまったくできないと思います。そのために、あれだけ努力して内閣が権限を奪ったのです。それをわざわざ法律を変えて、元に戻す。
いくら内閣人事局のトップを政治家にしたからといって、内閣人事局そのものに権限がないのでは、政治主導の政治などできるはずはありません。改革後退、とんでもない状況です。

■天下りの復活

それだけではありません。
今の鳩山政権は日本郵政の社長に、あのミスター大蔵省といわれた斉藤次郎氏を迎えたのが象徴的ですが、天下り、裏下り、などなんでもありの状態です。

民主党はマニフェストで、公務員の人件費を2割削減することを明言しておりました。同時に天下りを全廃させるために、定年まで働く制度をつくると主張しました。

私たちは、そんなことは無理だと言いました。一度上がったら下がらない給料体系です。定年まですべて採用した公務員が残っていたとしたらとてつもない人件費がかかり、削減どころか増えてしまうと指摘していました。
だからこそ、利権がついて行われる再就職はよくないけれど、利権をはずし、通常の条件で再就職させていくことを目指したのが、安倍内閣のときに制度設計をした官民人材交流センターでした。

民主党は、無駄をなくせば人件費の切り詰めはできると言っていましたが、やはり増えてしまう現状を前に、再び早期退職、つまり肩たたきをしなければならないとなりました。
彼らが言う”天下り”を彼ら自身で行うこととなったわけです。

早期退職なしで総人件費を増やさないためには(2割減らすのではありません)、新卒の採用人数を今の予定の半分ほどにも減らさなければならないという試算が出たのです。
当たり前です。私たちは、だからこそ省庁が天下りを斡旋したら、刑事罰を課すことも提案しています。鳩山内閣のこの後退の仕方では、この種の問題が必ず出てきます。

すでに、枝野大臣が独立行政法人国立印刷局を再国有化して財務省の中に戻したらどうかと言ったと新聞が報道しています。これは局長ポストを一つ増やすことになり、同時に4700人以上の労働者を再び公務員に復帰させることを意味します。今の流れに明らかに逆行しているのではないでしょうか。
すでに公務員から立場が変わっただけで、12%も人件費が削減できているのに、です。
戻すということは、労働組合の人は給料が上がるから喜ぶことですが、国の財政には負担がかかります。これから独立行政法人改革という名の下に同じような案件がいくつも出てくる可能性があります。

鳩山内閣は明らかに意図を持ってこれらの政策を実施してきているので、しっかりチェックして、少しでも公務員制度改革の後退を防ぐことが今の野党に求められていることだと思います。