2010年11月)安定した政策を目指すために

2010年11月01日

■道筋の見えない政策

民主党の政権の特徴は、ありとあらゆるスローガンをぶち上げても、ほとんど具体的にならないことです。

たとえば「国家公務員の人件費は2割(1.1兆円)削減をする」というのが彼らの公約です。ところが今年、人事院勧告は△1.5%の改訂。2割削減には程遠い状況で、どう考えてこの公約が出てきて、どのようにこれを実現していくのか道筋がまったく見えません。

ところが、この政策に限ったものではないのです。社会保障、安全保障、成長戦略、財政再建などもまったく同じ状況です。実は、民主党の政治は、中長期政策方針と工程表を一つも作れない、というところに大変大きな欠点があります。方針に基づいて目標を設定し、期限と達成率とそこにたどりつく手段を公に示しながら国民に協力を求めなくては目標に到達できるわけはありません。

■実現可能な工程表を

例えば、財政再建です。私たちはまず、このバラマキ政策をやめない限り、財政再建などできない、と言ってきました。民主党はできると言い張っています。しかし、できるできると言うだけで、どうできるのか、その中身に関しては、一言も触れてきません。当たり前です。できないのですから。言えるわけはありません。

竹中大臣の時には5~6兆円ほどまでに圧縮してきたのに、今年度の予算はプライマリーバランス31兆円の赤字です。こんなことでは、財政が持ちません。当然、8月末に取りまとめる来年度の概算要求額は絞り、下げていかねばなりません。なのに実際は昨年と比べて1兆7000億円以上増加した96兆7500億円余りとなりました。今までに例がない水ぶくれした要求額です。多少の予算切りでは到底おいつかない額です。

これでどうやって財政健全化を目指すのか、私たちにはわかりません。何も言わずに、国会での答弁を避けて衆院の数の力で決めていくのではたまりません。

今回、自民党が、財政健全化法案を提出し、この法案の成立を予算成立の前提として求めているのはこのためです。使う話ばっかりしていて、財政再建ができるかどうかには全く触れない。無責任もいいところです。

自民党の時代には、経済財政諮問会議がありました。「骨太の方針」を発表し、その中に10年にわたる財政再建の道すじ、そこに至る具体的な約束事などを国民に示して財政再建をすすめてきました。
今の政権にはそれがないからどんどん予算も膨れてしまうはずです。鳩山政権時代にも、「5ヵ年の中期財政フレーム」を出す出すと言っていて、これも当たり前のように延び延びとなって、提出前に鳩山政権が崩壊してしまいました。まずは、実現可能な具体的工程表を出す、これが今の政権の一番初めの仕事です。

■増税ありきの社会保障

社会保障に関しては、10月末にようやく「社会保障改革検討本部」で今後の社会保障の全体像をやっと議論することになりました。しかしこれも裏を返せば、今まで国全体としての社会保障政策の方向性がないままきていることになります。

私たちは、”中負担中福祉””国民負担率”などをキーワードに議論をしてきたものです。今の民主党はこの検討本部で議論をしていくようですが、早くも消費税率の引き上げ幅が最も大きなテーマになっているようです。しかし、負担の話は提供される社会福祉サービスと一体のものです。どのようにサービスが充実するか、どう安心を確保できるのかを示すことなしに負担増の議論ばかりではバランスを欠きます。中長期のあり方を示す作業をまず行ってもらわなければなりません。

■国益のマイナスを最小限に

今回は、財政再建、社会福祉に関して述べましたが、成長戦略、安全保障、CO2の25%カット、高速道路無料化など、まだまだ政府方針、具体的な方法論など出してはいないものばかり。中・長期の計画を出せない、つまり、実現不可能な公約の峻別作業を一刻も早く進めて、国益へのマイナスを最小限にすべきではないでしょうか。