2010年10月)日本の外交のあり方について

2010年10月01日

~尖閣諸島問題より~
今回の中国人船長解放を含む一連の日中間の外交のあり方には、多くの国民が憤りを感じているものと思います。やられ放題の上に、とんでもない前例を作ってしまいました。
今回中国はある意味腹を固めて、意図的に事件を起こしたと見られると私は思います。ですから、生半可なことでは中国も引きません。もし自民党政権であったとしてもこの事件が起きれば対応は難しかったと思います。

■なぜ、今この問題が起きたのか?

しかし、民主党の政権で最も問題なのは、昨秋より間違ったメッセージを中国と国際社会に送り続け、中国に腹を固めさせてしまったところにあります。

1)国会議員140名以上、総勢600名の”朝貢”を中国に対して行ったこと。胡錦濤国家主席との記念撮影のために長蛇の列をなしていたことも、相手にはどう捉えられていたのか・・・。

2)鳩山前総理が、尖閣諸島とは明言しないまでも、”日中の領土問題にアメリカは入ってこない”と発言していること。

日中の領土問題に尖閣が入るというメッセージと同時に普天間の問題で日米間がギクシャクしていることを明らかにしたこと。

3)蓮舫大臣が日本の大臣として初めて「尖閣諸島は領土問題だ」と発言。後に取り消したが、菅内閣のスタンスが中国に認識されてしまったこと。

4)民主党には、外交・安全保障の基本的スタンスが全くありません。だからこそマニフェストにもほとんど何も書けません。行き当たりばったりである上に、”友愛外交”などという国際政治には全くありえない主張をしている外交オンチぶりを発揮していたこと。

これらの状況から、中国は日本政府をなめて、確信犯で今回の事件に至っているわけです。
それに驚くべきことは、600人もの大勢で中国に大挙して押しかけておきながら、仙谷官房長官曰く、「民主党に中国とのパイプがない」(9/28、朝日新聞)。また、私が聞いたところによると、自民党政権の時の官房長官経験者に、中国との仲介を頼みたいと現官房長官は依頼をしています。
パイプがなく、何の話も中国としていないのに、ニューヨークにいる菅首相の「もっと早くできないのか」(9/28、朝日新聞)という怒りによって、勝手に日本は中国人船長を釈放してしまいました。
何も交渉していないのに、文句を言ったら釈放したということは、「日本が間違っていた何よりの証拠ではないか」と中国によって全世界に宣伝されています。愚かなことです。

■「船長釈放」が中国に与えたもの

元々尖閣諸島は19世紀に日本が領土だと明らかにして以来、どの国もその帰属に対し何の主張もなかった所です。この地域に海底資源があることが発表された直後の1971年12月に、中国が初めて領有権を主張したわけです。明らかに資源目当ての言いがかりです。
以来約40年に渡り、自民党政権は中国に全く主張の根拠を与えませんでした。それなのに、政権交代してわずか一年で、中国にその主張の根拠を与えてしまいました。「交渉もせずに中国人船長を釈放したことが、日本が中国の領有権を認めた何よりの証拠だ」と。
今年の夏まで国際社会に尖閣諸島における日中間の領土問題などなかったのです。しかし、今や恐らく領土問題が存在するという認識を持っていることでしょう。日本の国益を損ねること、これに過ぎることはないとまで言わねばなりません。

■揺らぐ「三権分立」

また、その釈放の経緯もひどいものです。那覇地検の次席検事が、「日中間の影響を考え」る政治判断をしたとの会見を行いましたが、ふざけてはいけません。まず、政府が「勝手に判断するな。それは政府の専権事項だ」と検察を一喝しなければならないはずです。
明らかな違法行為が確認されたからこそ逮捕されたのであって、検察が日本の刑法を無視して超法規的結論を出すのは、司法の範囲を越えています。許される話ではありません。
日本は法治国家である上に三権分立をとっています。どちらをもぶっ壊す話です。これを認めているのは9/28朝日新聞にあるように、この判断が政府のもの、官房長官と首相の意志であるからでしょう。これから国会でこの点は明らかにしてほしいものです。

■国益を考えた戦略策定が急務

今回の事件を通じ、相手の好意を期待しての外交などありえない、ということが改めてはっきり国民に理解してもらえたと思います。国際政治は何かあったらとるかとられるか、不利になれば中露の共同声明で日本に圧力をかけてくるように輪をかけてやってくるものです。
まずは政府が安全保障、そして日本の領土政策をきっちり策定することを求めると同時に、これ以上国益を損ねない態度をとってほしいと願わずにはいられません。