2010年6月)新政権発足     

2010年06月01日

~期待される野党になるために~
鳩山由紀夫内閣が退陣しました。民主党としては、最高のタイミングだったといえます。「会期末」を理由に、論戦でボロを出す間を与えず、たったの2日間で新総理を誕生させ、参議院選挙に突入することができたのですから。
しかし、国の政治を考えた時、この決断はもっと早くすべきだったのではないでしょうか。

■鳩山政権の三つの罪

その理由の一つは、国益を大きく損なったこと。
特に外交において、そのことが顕著です。日米関係が悪化している影響もあり、ただでさえ国際社会における存在感が小さくなっているところへ、今回も民主党の代表選挙のためにG20財務大臣会合に日本は欠席。

また、アフガニスタンのテロとの戦いにおいても、年間69億円で済んだ上、人的貢献と世界で評価を受け、なおかつ生の情報が迅速に入ってきたインド洋上の給油活動をやめて、900億円以上かける「お金だけの貢献」。情報は入らず、感謝もされず。これこそ、事業仕分けリストの先頭に入るべき政策変更です。
加えて、普天間基地移設問題では、「安全保障オンチ」を国際社会に知らしめてしまいました。

二つ目に、財政悪化です。
何度も書いてきましたが、税収が40兆円を切ることは昨年の5月にはわかっていました。実際に当時の鳩山由紀夫代表が、そのことに触れています。その状況を前提で出してきたのが、昨年の衆議院選挙のときのマニフェストです。ですから、彼らが政権をとった後に「税収減で・・・」などというのは言い訳です。

それで44兆円超という、税収を大きく超える国債を発行しました。これは、自民党政権時代には一度たりともなかったことです。

基礎的財政収支(プライマリーバランス)も、新聞報道によると41兆円の赤字。昨年のマニフェストにこだわったら、23年度の予算が立てられない状態とも言われています。

三つ目に、政治不信を極度まで増大させてしまったことです。
新聞の世論調査によると、総理の言葉を信用できない人が89%にまで達しています。沖縄をはじめとして、「地域主権」という民主党のお題目がまったくの名ばかりというのを、地域の方々は心底痛感させられたことでしょう。

たとえば、自公政権が行っていた児童手当は、子ども手当ができるから廃止するというのが彼らの公約でした。そして、子ども手当は全額国費でまかなうと約束したのです。しかし、公約に反して児童手当制度は残されました。というのも、児童手当の一部は地方が負担するものなので、それを残すことによって、国費負担を軽減させたのです。

それも、地方に断りもなく。横浜市など50億円超を強制的に負担させられています。これのどこが「地域主権」なんでしょうか。

また、八ツ場ダム建築中止のいきさつも、地域の声を聞かずに、いきなり頭ごなしに決定を下しました。

極めつけは、普天間基地移設問題。マスコミ報道が先行して、内容が地元に伝わっているのに、平野官房長官は「徳之島の”と”の字も出ていない」と地元の町長らに説明しました。結局、アメリカとの間で辺野古案が決着してから地元に説明するという、地元をまったくないがしろにするやり方をとったわけです。これが地域主権といえるのでしょうか。

官房長官は「地元の反対には配慮しきれないから、強権的にでも進める」と言い出す始末です。この言葉に、民主党政権の本質が出ていると思います。

自民党は間違っても、こんな地元無視はしませんし、してきませんでした。自民党にもいろいろな批判はありましたが、地元の声を大事にして耳を傾けてきたんだということを、今回再認識しました。

彼らの不誠実さは、枚挙にいとまがありません。野党時代の原口総務大臣は「ムダをなくせば簡単に20兆円は出てくる」と発言していました。しかし事業仕分けの結果、1兆円にも届きませんでした。しかし実はこれも、初めからわかっていたこと。

また、普天間基地を辺野古に移す自民党案に対して、「自然への冒涜。それに利権が絡んでいるのではないか?」と散々たたいてきたのに、迷走の末に出てきた地名が辺野古。実は、自民党は200ヶ所以上の地点を検討し、この問題と取り組んできました。

与党時代の自民党は、いい加減なことをやっていると思われていました。しかし、今の政権と比較してみて、どうなのでしょうか。

■期待される政党になるために

これから菅政権になりますが、11人の閣僚が再任されるわけですから、政治の中身が大きく変わることは期待できそうにありません。
例えば、「政治と金」の問題で、小沢・鳩山の「小鳩体制」の時に菅総理は何をやったでしょうか。何もやらないし、何も言いませんでした。

もし「脱小沢」なら、野党が要求している石川知裕議員に対する辞職勧告決議案を採決すべきですし、小林千代美議員にもきっちり話をさせるべきです。そして何より、小沢一郎前幹事長の証人喚問を実現させるべきです。これらのことをせず、「役を退いたから決着」と言うのなら、菅総理も同じ穴のむじな、期待できません。

財政悪化も同様。今の状況では期待できるわけもなく、早晩同じ風景を見ることになると思います。

一方で、自民党。
私は総裁が指名した役員を総入れ替えし、国民から期待してもらえるメンバーにしてほしい!とずっと訴え続けています。
今の役員は、実績はありますが、その力量が見限られているために期待されていません。ならば、先輩方ほどの力量がなくとも、いずれは大きく育つだろうと期待される若い政治家を、先輩として育てる役に回り、もっと期待される自民党になることのほうが、国民から求められていることなのではないでしょうか。

野党の役目は、敵失をあげつらうことではなく、よりよい政策を与党に対して提案し、切磋琢磨して国民の生活をよりよいものにしていくことです。
そのためにも自民党の一人として、再び期待され、政治を任せてもらえる政党となれるよう、新政権発足に際して強く肝に銘じたいと思います。