2009年5月)最新療法「t-PA」で脳梗塞患者を救うために

2009年04月30日

t-PAという用語、ご存じでしょうか?Tissue plasminogen activator(組織プラスミノーゲン活性因子)の略で、脳梗塞の最新療法であり、3年程前から日本でも保険適用になった治療法です。

脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血液が脳細胞に回らなくなり、脳細胞が死んでしまう病気です。死んでしまった脳細胞は復元しないので、身体障害などの後遺症が残ります。
介護保険の要介護度4や5といった重い状態の方々の一番の原因は、脳梗塞です。後遺症がなければ、リハビリにかかる医療費や介護費が大きく削減されることは、間違いがありません。
この後遺症をなくす画期的な治療法がt-PAなのです。

t-PAは、脳内血管の詰まりものを溶かして、血液が流れるようにします。脳細胞が死滅する前に、再び血液が流れれば、後遺症が残らず社会復帰できます。
今のところ、t-PA治療を行って後遺症が残らなかった確率は37%と言われていますが、この数字は医療体制が整うに従い、必ず上がるものと私は考えています。

■t-PAの問題点

ここで大事なのは、細胞が死ぬ前に治療を始めることです。つまり、スピードが命なのです。現在は、発症2時間以内の病院到着がぎりぎりのタイムリミットで、約1時間のМRIなどの検査を行い、3時間以内に治療を開始することが要求されています。

早く病院へ。そうなると、救急体制がしっかりしていなければ、t-PAの治療が受けられないことがわかります。
そこで実は今、救急体制と脳卒中対策は密接に関連したものとなってきたのです。

■医療システムの整備

政府も昨年、診療報酬12,000点という「超急性期脳卒中加算」制度を設けて、医療機関にt-PAの施術を促しています。
t-PAを行う病院には、専門医、MRIなどの検査設備と検査技師、SCUなどの病棟設備などが要求されます。脳出血を起こせば死に至ることもある高度な技術を要する療法でもあるので、検査を行い、専門医がその結果の判断を行った上で施術するものとされています。

横浜市でも、上記の診療報酬の対象施設22ヶ所を登録し「脳血管疾患救急医療体制」を始めました。脳卒中カレンダーを作り、救急隊に配布をし、今日患者が出た場合、どこに搬送したらいいかが一目でわかるようにしました。

形はできましたが、次に求められるのは、内容の正確性と各施設の医療の質の確保です。
専門医がいることになっているのに、実際は必要な時にいないとか、t-PAの処置ができることになっている日なのに、できないとか。まずはそのようなことをなくしていかなければなりません。また、医療の質向上もこれからの課題です。

ところが、人手不足のため、まだ施設の状態のチェックが充分にできていないようです。中には手術室を決して見せない所とか、専門医が不在で、電話で来てもらうにも1時間かかるとか、研修医が初期対応せざるを得ないところなども含まれており、課題は様々です。

■国民の命を救うために

ですから私は、4月20日の決算行政監視委員会の分科会で「結果を公表すべし」と求めました。成功の可能性の高い病院と失敗の多い病院とを国民にはっきりさせる、ということです。
高い診療報酬につられて手を挙げただけの施設を排除し、誠意と情熱のある病院がきっちり評価してもらえるためにも結果の公表は必要です。

このように、t-PAとは新しい治療法であり、迅速さや専門性などを求められるもので、今までとは違う対応を迫ってきます。しかし、このt-PAの可能性は大きいものです。私はt-PAに合わせた体制をつくり、脳卒中対策の核にしていくことが必要だと考えます。
小手先の対応ではもたなくなるかもしれません。近い将来、専門医の先生方とも連携をして脳卒中基本法なるものをつくっていくことも視野に入れていくべきでしょう。とにかく国民の生命を守るために最大限の努力をすることが必要であると私は思っています。