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民主党の代表選にみる「与党感覚」~何を訴え、どういう国づくりをしたいのか~

2011年09月01日

野田総理が誕生しました。野田氏は私の松下政経塾の先輩でもあります。松下政経塾としても、塾設立31年にして初めて総理大臣を輩出することとなりました。日本の未来を本当に憂えた松下幸之助塾主の思いに応える政治を行ってもらいたいと思います。

■内向きのスローガン
野田総理の代表選でのスローガンは「怨念を超えた政治」。残念ながら、あくまで党内に向けたフレーズで、今直面している国民や日本の危機にまで目を向けきれていません。国のリーダーになる時に、国の政治に関してしっかりとスローガンを掲げられず、党内融和を呼びかけねばならないほど亀裂が深刻なわけです。
それでも、代表就任直後の演説の中で、鳩山、菅両政権の政治を「上り坂を押し上げていく雪だるま(政権を担当していく責任)を支えきれずに、雪だるまが転げ落ちている状況」と批評していました。これは冷静な分析だと思います。

■政権構想のない代表選挙
正直なところ、私は今回の代表選に興味がありませんでした。というのも、政策がまったく語られておらず、国のあるべき姿の議論など見るべくもなかったからです。少なくとも、自民党の総裁選では必ず政権構想を発表し、それを実現するための政策を示してきました。それを紙上で発表し、テレビで語り、街頭演説を行い、多くの国民から評価され、その上で総理となっていきました。
しかし、民主党の代表選は今回も含め、一度も政権構想などを出した候補者はなく、単なる権力争いに終始し、主義主張がぶつかり合うところがありません。総理になって初めて国を考えるという状況なので、外交、安全保障も間違えるのだと思います。党内の選挙とはいえ、日本のリーダーを決めるものです。政策的にまったくのフリーハンドで日本を任せるという現状は改め、国民に日本のこれからを示す作業を、総理になる人の必須課題にすべきです。

■山積する課題
例えば、中長期的には外交、安全保障に関して、日米安全保障条約を始めとする米国との関係、軍備費の増大が著しい中国との関係、その中国の脅威を感じている東南アジア諸国との関係などに関して、基本のスタンスは示すべきです。
TPPを始めとする貿易協定などは、農業分野の問題だけでなく、日本の産業をどうしていくかといった戦略とセットで議論しなければいけません。
バラマキ政策のために一気に増大した社会保障費の財源問題も大事です。野田総理は増税派なのですから、それをキッチリ国民に示してもらう必要があります。「あれもやります。これもやります。財源はムダ遣いをなくせば出てきます」という誘い文句は、この2年間で通用しなくなったはずです。
震災で一時的に隠れている財政再建に関しても、累積赤字が944兆円超ともいわれている今、中長期的な課題でありながら、今すぐの対応が求められるものです。円高、エネルギー供給、そして震災対策も同様。
外交手段をとらずに招いてしまった円高の対策、同じく企業経営の大きな足かせになっている電力需給問題。菅前総理の「脱原発」宣言を引き継ぐのか、引き継がないのか。重要な判断です。
震災対策については被災者に怒りと失望を与え続けた菅政権。復興予算を積んでもほとんど使われていなかった実態は、先の延長国会の委員会審議で明らかにされ、国民を唖然とさせました。何を行うかだけでなく、それを実行するスピードも大切です。

■「信頼できる党」になれるのか?
次から次へとテーマがあるなか、今回の代表選での議論が見えませんでした。その上、先の三党合意の見直しに言及した、つまり公党間の約束を反故にしようとする海江田氏が代表選で2位になりました。政策も見えず、約束も果たそうとしない政党と、責任ある仕事をしていかなくてはならないのですから、私たちもそれなりの覚悟が必要です。
そのなかで、私自身も、今なすべきことをやりながら精進していくのみだと思って活動していきます。