増税議論の前に~支出削減と成長戦略で見えてくるもの~

2011年03月01日

私も会員となっている「とつか災害救援活動ネットワーク」で、先日「横浜市民防災センター」へ見学に行きました。使われている映像などがずいぶん昔のもので、予算が乏しいのかな、と思わされました。しかし、ニュージーランドでの震災直後だったことや、私も現職の時に耐震補強の推進に関わっていたこともあり、改めてその時の知識なども思い起こし、講話を聞かせていただきました。

阪神淡路の震災でもそうですが、犠牲となり命を落とされた方々の95%近くは、建物の倒壊が原因です。死者を減らすには、地震で人をつぶさない建物を増やしていく、つまり耐震補強の推進が第一なのです。
恐ろしい災害の話を聞きながら、しかし、所長のお話の中での「どんな大きな地震でも、いつ起こるかわかるのであれば、全く怖くないのです」という言葉にハッとしました。そう、地震の恐ろしさは、いつ来るかわからない、先が見えないところにあるのです。先が見えていれば、対策を講じることができるのです。そして実は、それが今の国政にもぴったり当てはまるということに気がつきました。

自民党の対策

「先の見通しがないから、国民は不安だし、政治に不満を抱き、頼りにしない、いや、できない」のです。
この少子高齢とかデフレ経済などという「地震」は本当の地震とは違い、気づかぬうちにいつの間にか来ており、そして本当の地震と同様、手遅れになってしか対策を講じられないで、結局大きな衝撃を日本社会に与えることになるのでしょう。

自民党は、与党の予算案に対する対案を国会に提出しました。
全体で3兆円以上も予算の総額を減らす内容です。経済対策も、現在の案と比べて2兆円も多く計上しています。現在の与党のものにくれべれバメリハリのきいた予算だとは思われますが、やはり税収以上の赤字国債を発行しなければいけない点や、社会保障費への対応が不明確なことなど、まだまだ課題が残っていると私は見ています。

菅内閣に求められる議論

菅総理は、現在「税と社会保障の一体改革」を言い出しており、消費税増税路線を一直線に突き進んでいますが、もっと多面的な議論が必要です。
まず社会保障費を聖域化して支出を増大させるままでは、いくら増税しても追い付きません。旧社会保険庁の例のように削減することもできるのですから、まずは聖域化を外すことが必要だと思います。これは支出削減の議論です。

次に、税収を消費税以外でどう増やしていくか、つまり経済を好転させていくことの議論が必要です。新聞記事によると、平成15年~19年の小泉政権の4年間に、基礎的財政赤字は22兆円改善したそうです。支出を抑え、経済が活性化し、税の自然増収が実現した結果です。これを消費税に換算すると、9%分になるとのこと。このためには、成長戦略の有無も大変重要になって来ます。両方の議論を深め、それでも足りない部分はどれだけか。それが見えてきて、初めて「消費税を何%にするべきか」が出てくるのではないでしょうか。

当然、この段階で日本がどのようなという社会保障の行政サービスを想定しているのかも、国民に見ていただかねばなりません。今の政府の試算では、消費税15%に引き上げても追いつかない数字が出ています。しかし、このシナリオでは、私たちに将来は見えません。そのためには、デフレ克服など、経済の立て直しと、公務員改革、独立法人改革、国会改革、地方分権の推進など、やはり小さな政府がまず求められるのだと思います。
これを考えれば、小さな政府、行政改革の本家として、自民党はもっと思い切って今回の予算では歳出カットに切り込んでもよかったのではないかと思います。
まず経済、そして歳出カットを徹底し、「地震の規模」を国民に見てもらうことが、今の政治に一番足りないところではないでしょうか。