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原発議論、まずは政府が考え方を示すべき ~方向性と責任の所在を決めるのは誰か~

2012年09月01日

■「討論型世論調査」実施の疑問
今回の調査は「国民に意見を聞いて、それを参考に今後の政策を決めよう」ということなのでしょうが、ここで聞いた意見や結果がどう取り扱われるのかがはっきりしていません。政府に都合がよければ使うし、そうでなければ単なる参考にすることができるというスタンスでいることが、まず不透明です。
次に、今回の選択肢であった、「原発比率0%、10~15%、25%」のそれぞれの考え方を総合的に提示する人がおらず、本当に様々な局面を総合的に考慮できたのでしょうか。
そして何より、政府は1年以上かけてこの問題について議論を重ねているのですから、政府の考え方をまず最初にしっかりと示すべきです。政治主導と言っておきながら、この大事なところでうまく政治の責任を世論調査にすり替えています。このままでは責任の所在がないまま政策が何となく動いていってしまいます。

■まず政府が考えるべきこと
現実問題として、大飯原発を再稼動させているのですから、そこをスタート地点として、現実の状況に基づいた政府の考え方を最初に示すことで、例えばどんな点を考慮すべきか、どれは可能でどれは実現が困難なのかがはっきりしますし、参考になります。
原発が建設されている地方自治体の財政や経済対策はもちろん、新たな発電技術はどんなものが開発されているのか、その実現性や時期の見通し、原発ゼロとするならば、大学では原子力に関する学部はなくなり、研究者もいなくなることや日本の産業にとって大きな輸出プラントがなくなる影響、電力が充分に使えなくなることの産業への影響、放射性廃棄物の処理の問題など、少し考えただけでも、その内容は多岐に渡り、私たちの生活と直結しています。こうしてみると、世論調査には、最もそぐわないテーマだとも思います。
私自身は、人間が処理できない放射線という廃棄物が出る発電方法は望ましくないと思っています。ですから原発がなくせればいいのですが、今すぐには無理だとも思っています。
今夏、関西では大飯原発を稼動させさせなくても、結果として電力は間に合ったと言われています。まず節電に協力してもらうなかで、各地域に最低どれだけの電力が必要なのか。そして、現在は1%にも満たないと言われている再生可能エネルギーをはじめ、様々な発電方法を小規模単位で可能な限り街中などにちりばめ、それでどこまで対応可能となるのか。その上、新しい方法を開発できれば、それでどこまで原発の穴を埋められるのか。その努力をし、データを集め、それを元に具体的な脱原発への道筋を模索していくべきだと思います。
私たちのライフスタイルを変えることにより、原発無しでやっていけることを目指し、一方で新たな発電方法を工夫するなかで、原発の穴を埋められれば、原発を脱却する。そこまで届かない場合は、必要最小限の原発を安全を確保しながら動かすというのが現実的だと思います。その模索をどこまで本気で政府がやるのか、できるのか。そこがまたひとつの大きなポイントになると思います。