「骨太の方針」の目指すもの ~ 二兎を追い二兎を得る戦略 ~

2015年07月12日

政府は今年もこの時期に「骨太の方針」「成長戦略」を発表しました。
今年は自民党政務調査会の国土交通部会長という役職の中で党内の議論に関わりました。
まずは、自民党からの提言を政府へ出すときに、部会として国土交通省関連の政策を盛り込んでもらいました。それを受けてつくられた「骨太」「成長戦略」の素案に再び訂正・補充などを提案し、今回発表されたものになったわけです。
今回の「骨太の方針」の中での経済・財政は、基本的にはかなり経済が好転してきているので、財政健全化に向けて歩みを進めることができると認識されています。

■日本経済の現状認識
GDPは平成24年10~12月期(安倍政権発足直前)から今年1~3月期まで2年ちょっとで、実質約12兆円、名目で約27兆円増えました。
企業収益は顕著に改善し、上場株式の市場評価額は平成元年以来25年ぶりに過去最高を更新しました。
雇用については有効求人倍率が23年ぶりの高水準。賃上げも昨年の春闘で平均2%超。今年はそれ以上で推移しています。
失業率は3.3%と18年ぶりの最低水準、新卒予定者の内定率は大卒で7年ぶり、高卒で23年ぶりの高水準です。
経済収支も消費税率引き上げ後、一時的に赤字となりましたが、昨秋以降黒字が拡大してきています。バブル崩壊後に指摘されていた企業や金融機関の「3つの過剰(債務、設備、雇用の過剰)」も、近年ほぼ解消されています。

■日本経済の方向性
これらの状況を受けて、財政状況も改善してきています。一般会計で見て、平成24年度の42.3兆円から平成27年度には54.5兆円と、当初予算ベースで12.2兆円(消費税引き上げによる税収増を除いても5.9兆円)の税収増です。
結果として、国・地方の基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の赤字対GDP比は平成27年度には5年前に比べ半減(6.6%→3.3%)が見込まれています。
今後も長期的に実質GDP成長率2%程度の目標を掲げつつ、潜在的な成長力を引き出し顕在化させ、また「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で地方創生を深化させて、改善した企業収益が賃上げや投資に回り、それが更なる消費につながっていく経済の好循環を中小企業や地方により広めていきます。
結果、実質総雇用者所得、つまり国民に支払われる給料の総額を増やしていくことが重要です。

■「骨太」の具体例
これらの現状認識と今後の方向性を持った中で、「経済・財政再生計画(平成28年~32年度)」を策定します。「経済再生なくして、財政健全化なし」の基本方針の下、あくまで経済再生と財政健全化の二兎を追い二兎を得る道を模索していきます。
そのために「デフレ脱却・経済再生」「歳出改革」「歳入改革」を3本柱にして改革を進めていきます。

1)社会保障分野
膨張する社会保障費の伸びを18年度までの3年間で1.5兆円程度に抑える目安を掲げました。特に強調されているのが、医療・介護・子育てなどの社会保障サービスを含む公的サービスの産業化です。民間の仕事とすることで選択肢も多様になるでしょうし、サービスも効率化します。これは公的な支出を抑えると同時に、産業として独り立ちできれば民間のシェアが向上し、課税ベースが拡大することになり税収も期待できることになります。
とにかく財政圧迫の一番の要因は何と言っても社会保障費です。ここの増加を抑制できれば、個人・企業の保険料などの増加を抑えられ、それらが消費や投資に向かい、経済成長に寄与するわけです。ただ、もともと民間がサービスするにはそぐわない面があったからこそ、公的サービスとなっているわけで、サービスの質・中身を落とすことなしに産業化するには、十分に注意や配慮が必要だと思います。

2)国土交通分野
また、私が部会長をしている国土交通関係では、社会資本整備の捉え方を広げていこうとしています。
今まで公共事業投資はその整備の工事そのものが予算を使っての経済対策であり、そう考えらえてきたわけですが、今は「ストック効果」と捉え、そういう社会資本があるからこそ誕生する産業や街というものがあるんだということをしっかり認識しようと言っています。道路があり、排水設備があり、一方では灌漑設備があり水が利用でき、災害に強い地域になったからこそ生まれる産業があると考え、こういう効果を最大限求めていくべきだとしています。

■「骨太」の指標
とにかく、財政健全化の指標として、平成30年度にプライマリーバランスの赤字を対GDP比1%程度にするという数値を出しています。その実現に向け、精いっぱいの努力をし、しっかりと二兎を追い続けていきたいと思います。