• ホーム
  • » 今月の主張 » 「脱原発」を訴える前に~自然エネルギーの可能性と特長を考える~

「脱原発」を訴える前に~自然エネルギーの可能性と特長を考える~

2011年08月01日

■自然エネルギーは原発の代替か?
民主党のマニフェストでは「発電の原子力依存率を現在の26%から倍に引き上げる。そのために新規の原子力発電所を急ピッチで建設していく」とされていました。それに呼応して、昨年の事業仕分けでは、「自然エネルギー関係予算」が288億円削られたことも周知の事実です。その政策を180度転換したのが菅直人代表で、これから自然エネルギーを代替エネルギーとすると言っていますが、予算を削って来たこの自然エネルギーの議論が単眼的ではないかという気がしてなりません。
原発の安全性に関して、今まで前提としてきた専門家と言われる方々の話に疑問符が付くことが明らかになった今、安全性を改めて担保することは何より最初に必要となります。同時に、中長期的には「脱原発」を模索すべきだと私も思います。
しかし現実問題として、原発をそのまま自然エネルギーに単純に置き換えることは不可能です。ある専門家の話では、福島第一原発1号機の発電量を太陽光発電で賄うためには、山手線の内部にびっちり太陽光パネルを敷き詰めないといけないとのことでした。これだけの面積が必要な上に、雨の日などは発電をしないわけですから、安定供給は期待できません。もしそれでも無理やり押し切るのであれば、大量に高価な蓄電池が必要になります。現実的ではありません。

■自然エネルギーの可能性
自然エネルギーは、実は原子力発電とは対極にあると私は考えています。
というのも、一つには多機能分散的かつ小規模活用することが効率的なエネルギーだということです。だから補完的なエネルギーとして組み込むのが最もしっくりきます。メガソーラー発電所という考え方には適していません。個々の家や施設ごとに工夫して、様々なエネルギーを活用していく方法が望ましいと言えます。
また一つには、発電だけがすべてではないということです。風力、水力などでは歯車を組み合わせて実際に仕事に利用したり、揚水という形で位置エネルギーに形を変えて蓄えたりと、工夫して効率よく使用できます。また太陽光も、発電だけではなくて、熱の利用をもっと考えるべきではないでしょうか。
そして何よりバイオマスメタンガス発酵などは今の社会で最も不足している「自然の営みの循環(廃棄物を分解する機能)」を担うことにもなります。
自然エネルギー中心の社会に移すのであれば、自然エネルギーでできる限りの工夫をして、電力会社から電気を買わないでいい社会を作り、それでも足りない分を電力会社から購入するという形が、本来目指すべきあり方だと思います。

■まちづくりにも影響するエネルギー政策
しかしこうするためには、今まで述べてきたような価値観を変える必要があります。と同時に、まちづくりの計画も変えていく必要があります。というのも、自然エネルギーの仕組みを取りこむスペースを街のあちらこちらに用意する必要があるからです。また行政の企画する施設などにも、設置場所の特長を踏まえ、どういうエネルギーをどう利用するのか、計画段階から織り込むことが必要になります。こうなると実は、街や建物が変わっていくほどのインパクトを持った大変換が必要なのです。
今の政府の議論はできないものを議論している上に、本来大きな可能性のある議論をつぶしているとも言えます。